ニュース
医療

【愛媛県】

肢体不自由者女子水泳2冠の妻鳥さん、介助犬が前へ進む力に

愛媛新聞 2017年10月30日(月)
水泳で2個の金メダルを獲得し、家族や友人に祝福される妻鳥和恵さん(左)=28日午後、松山市市坪西町のアクアパレットまつやま
水泳で2個の金メダルを獲得し、家族や友人に祝福される妻鳥和恵さん(左)=28日午後、松山市市坪西町のアクアパレットまつやま

【難病越え周囲に感謝】
 母として、社会人として、水泳選手として「自信を持って生きる」―。県内初の介助犬利用者妻鳥和恵さん(46)=松山市=が、28日の全国障害者スポーツ大会・肢体不自由者女子25メートル平泳ぎで大会新記録を出し、同自由形でも自己ベストを3秒更新して優勝。共に苦難を乗り越えた双子の娘と介助犬の前で「最高にうれしい」と2個の金メダルを掲げた。

 2012年、勤務中に足首をひねり入院。外傷や神経損傷の後に体の痛みが続く複合性局所疼痛(とうつう)症候群という難治性の病気を発症した。焼け火箸を当てられたような痛みが全身を襲い、寝たきりに。ひとり親だったこともあり「人生を悲観して娘たちと命を絶つことさえ考えた」と明かす。
 そんな妻鳥さんを救ったのが介助犬「クリーム」の存在だった。落ちた物を拾うなど身体障害者の生活を助ける介助犬。寝たきりでは提供を受けられず、リハビリに励んだ。14年3月にクリームとの生活が始まると、1年後には仕事ができるまでに世界が広がった。
 15年10月には、筋弛緩(しかん)剤を脊髄に流すことで症状を緩和する手術を受け、体の自由がきくようになった。「水中なら体が軽く、元の自分と同じように動けるかも」。手術の3カ月後、えひめ大会への出場を目標に水泳を始めた。週1回の練習では、いつも長女(11)と次女(11)がプールに入るまで介助。腕の力だけで泳ぐため、コーチとフォームを試行錯誤してタイムを縮めた。
 「障害者になり、人に気をつかわれるのが悔しかった。何か一つ秀でるものを持っていたかった」と妻鳥さん。その強い思いと、支えてくれた家族や同僚、友人らへの感謝が大舞台での躍進につながった。
 11月には日本身体障がい者水泳選手権にも出場する。「これからも家族で前に進んでいく」と語った顔は達成感に満ちていた。