サービス取組み事例紹介
医療

医療法人社団友愛会岩砂病院第一

東海4県(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)で初の外国人看護師を輩出した岩砂病院

平成23年9月6日
岐阜県岐阜市にある医療法人社団友愛会岩砂病院第一(以下「岩砂病院」という。)は一般病床数98床、デイサービスセンターなどの関連施設を営む地域の医療・介護を担う病院です。


岩砂病院概観 

 岐阜県岐阜市にある医療法人社団友愛会岩砂病院第一(以下「岩砂病院」という。)は一般病床数98床、デイサービスセンターなどの関連施設を営む地域の医療・介護を担う病院です。
 前身となる診療所の開院は明治29年まで遡り、現在まで、地域の状況や時代のニーズにあわせて、診療科の開設、回復期リハビリテーション病棟の新設などを行ってきました。平成6年には岩砂マタニティを新設し、地域の産科の中心的な役割として実習生の受け入れも行っています。
 平成20年には、その年に始まったEPA(経済連携協定)※1に基づき、インドネシアから外国人看護師候補者の受け入れも行いました。
 当時、外国人看護師候補者として第一陣104名がインドネシアから来日し、47施設が受け入れましたが、岩砂病院は受け入れ施設の1つとして先駆的な取組みを行っています。
 また、このとき2名の外国人看護師候補者を受け入れていますが、そのうち1名は受け入れから3年目の23年2月の看護師国家試験にも合格しています。東海4県(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)で初の外国人看護師です。
 看護師国家試験の合格率は90%程ですが、外国人看護師候補者の方は、平成23年までの受け入れ実績572名に対し、合格者は3年間の合計で19名※2とわずかな合格者数にとどまっており、難関国家試験の部類に位置づけられるような試験となっていることから、今回岩砂病院に伺い、看護師国家試験合格に合格するまでの取組みなどについて、院長の長野俊彦氏、副看護部長の伊川順子氏、法人事務局の五嶋有氏、看護師国家試験に合格したFera Irawati氏(以下「フェラさん」という。)に話をお聞きしました。

(※1.EPA(経済連携協定)とは貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定。)
(※2.合格者数内訳 平成21年:0名、平成22年:3名、平成23年:16名)

友愛会だより 

 岩砂病院では、現在、フェラさんの他にインドネシアから1名、フィリピンから3名の外国人看護師候補者を受け入れています。
 看護師国家試験に合格したフェラさんは第一陣でインドネシアから来日しました。来日したときは片言の日本語しか話せなかったとのことですが、「日本の医療技術を学びたかったので日本に来ました」と今では流暢な日本語で受け答えをしてくださいました。わずか2年程度でここまで日本語が上達するのだろうかと驚くほどです。
 今ではすっかり病院に馴染んでいるように見えたフェラさんですが、来日当初は言葉が通じないことで契約上の誤解が生じ、帰国を考えるようなこともあったそうです。このときは、病院と外国人看護師候補者の橋渡し役を担っている社団法人国際厚生事業団(以下、「JICWELS」という。)が間に入ることで誤解が解消されたとのことでした。
 理解してもらうことが特に困難なのは社会保険関係だそうで、国の制度がそもそも異なりますので、言葉が通じないことで、さらに誤解が生まれる可能性が高くなるのかもしれません。
 そこで、岩砂病院ではこのようなコミュニケーション不足から生まれる誤解をなくすための改善策として、副看護部長の伊川さんを外国人看護師候補者の専属の上司として選任し、何でも相談できる環境を作り、仕事面だけではなく、プライベート面をサポートすることに取り組まれました。
 当人の伊川さんは「上司ではなくて、日本のお母さんのように接しています」と笑顔で話します。 
 普段の買い物に一緒に行くことから、誕生日会やクリスマス会を開いて一緒にお祝いをしたり、花見や外食にいったり、どこかに遊びに行くときは車で送っていったり、具合が悪そうに見えるときはアパートに立ち寄って様子を見たりと、他の職員には言いにくいことでも、伊川さんにならリラックスして何でも言える信頼関係を築くことに取り組まれたそうです。
 フェラさんのFacebookには伊川さんが「順子ママ」としてたびたび登場するため、それを見たJICWELSの方や、岩砂病院以外の病院に来日している外国人看護師候補者の方々の間でも今では有名人になっているそうです。
 伊川さんは「外国人看護師候補者として頑張っている彼女達を支えるには、この人に言えば大丈夫、というような柱になる人が受け入れ先の施設には必要だと思います。それは、彼女達の思いを病院に伝えられ、また、病院側の回答もできるような人です」と言います。
 ご負担は大きいのではないですか、と聞くと「インドネシアの友達、フィリピンの友達ができたというような感覚でとても楽しく、また、私がこのような環境で同じことができるか考えてみると、私にはできないので、自分にできる限りのことをして支えてあげたい」との思いで気にならないそうです。
 伊川さんの他にも、五嶋さんはパソコンの使い方をはじめとしたIT関係を、事務的なことは別の係長の方が一手にサポートするなど、誰に聞けば問題を解決できるのかを明確にされているとのことです。
 また、病院としては、居住することへのサポートとして、病院のすぐ近くにアパートを用意し、家具は職員みんなの持ち寄り、搬入も五嶋さんをはじめ職員みんなで行った他、勉強することへのサポートとしては、合格に向けて日本語教室にも週に1回2時間通ったり、試験前の10月からは半日勤務半日勉強の体制をとって、国家試験対策の勉強会を開催したりと、人手が不足している中でも、「外国人看護師候補者は勉強することも仕事のうち」という共通認識を病院内でもってサポート体制を作られています。
 外国人看護師候補者の方にとっては、言葉の問題もあり合格者率が低い状況となっている看護師国家試験ですが、合格に向けて仕事も勉強も頑張るためには、メンタル面をいかにサポートしていくかが重要であると岩砂病院の取り組みから感じました。


<< 施設概要 >>
施設名医療法人社団友愛会岩砂病院第一開所時期昭和57年1月11日
設置者名医療法人社団友愛会診療科目等内科、婦人科、小児科、リハビリテーション科、放射線科
一般病床数98床
回復期リハビリテーション病棟35床
亜急性期病棟7床
所在地岐阜市長良福光161の1職員数総数約400名 (常勤約320名)
電話058-231-2631FAX058-294-1480
院長長野 俊彦 氏関連事業所・施設■医療法人社団友愛会 岩砂マタニティ
■岩砂訪問看護ステーション
■岩砂介護保険支援センター長良
■岩砂介護保険支援センターさぎ山
■岩砂訪問介護センター長良
■岩砂訪問介護センターさぎ山
■岩砂デイサービスセンター
■グループホーム福光グリーンホーム
■介護老人保健施設山県グリーンポート
■岐阜市地域包括支援センター長良
■岐阜市地域包括支援センター北部
■社会福祉法人友愛会 山県グリーンビレッジ
URLhttp://www.iwasa-hospital.com/取材日平成23年9月6日