3.ケアプランの背景情報を確認しよう−その2
介護

 「2.ケアプランの背景情報を確認しよう−その1」では、鈴木さんと一緒に居宅サービス計画書の第1表を見ながら、Kさんやご家族のことを教えてもらい、アセスメントの根拠を探しました。ここでは第2表にもとづいて、具体的なニーズ、目標やサービス内容からアセスメントを展開していきます。

【著者:吉田光子(郡山ソーシャルワーカーズオフィス)】

文章表現の与える影響にも配慮する

吉田:では次に第2表から、具体的なKさんのご様子や、プランを作成した経緯について教えてくださいね。
鈴木:はい、わかりました。
吉田:まず確認なのですが、最初の課題に対するサービスの頻度は間違っていませんか?
鈴木:えっ・・・。(第2表を見て)あっ、違います。週に3回も行っていません(笑)。実は、週3回伺っている訪問介護の時間内での通院介助だったので、ほかのところと同様に週3回としてしまいました。なぜ気づかなかったのかしら。
吉田:先ほど通院は2週に1度とおっしゃっていたので、「あれっ」と思ってお聞きしました。ここは、月2回に訂正してよいですね。
鈴木:はい、そうしてください。早速、次回お伺いするときに差し替えていただけるように直して持参します。
吉田:では、最初から見ていきましょう。ニーズの順番は、どのように決めましたか? 緊急性の高いものや、ご本人にとって明確なものをはじめに持ってくるといいですよね。
鈴木:「再入院したくない」ということは、Kさんも奥さんも口になさっていたので最初にあげています。それと退院して初めて作成したプランなので、病気のことが大事だと考えました。
吉田:とてもよい視点だと思います。ご本人にとっても意識の高いニーズだったのですね。ただ、もう少し表現には工夫できるところがあるように思いますよ。
鈴木:・・・う〜ん、どこでしょうか?
吉田:冒頭のところです。気持ちは伝わってくるのですが、「再発」という言葉を用いるのは少し気になりました。例えば、「病気とのつきあい方を学び、再入院しない」という文章表現も考えられますよね。
鈴木:確かにそうですね。再発が前提のような印象を与えてしまうということでしょうか?
吉田:そうなんです。不安であればなおのこと、気になるのではと心配になりました。
鈴木:Kさんがおっしゃっていたので、何も考えずにそのまま書いてしまったのですが、表現に注意を払うことも考えないとダメなんですね・・・。
吉田:初回ですし、また、本人の言葉でもあるのでよいとしても、次回からはこうした点にも注意を払うようにするといいと思いますよ。


ニーズ・目標を導き出した背景は?

吉田:続いて目標ですが、短期目標がかなり限定されているように感じられるのですが・・・。ほかにも長期目標に対して何か考えられませんでしたか? (1)の短期目標は、もしかして通院介助というサービスが先に思い浮かんだのではないですか。
鈴木:はい、実はそうです。私はヘルパーとして通院介助をした経験もあったのですぐ考えついたということと、奥さんの膝の問題があったので、介助が必要だと思いました。
吉田:なるほど。ひとつ確認ですが、通院される病院にはどんな手段で行かれていますか? また、どのくらい時間がかかりますか?
鈴木:幸いKさんの町内にあるお医者さまがかかりつけで、入院していた病院から紹介状をもらって、そこへ通院しています。私の足で歩いて5分くらいでしょうか。よほど天候の悪くない限りは、車いすをヘルパーさんが押して介助しています。また、もしお天気が悪いようでしたら、日にちを多少変更してもいいと言われています。
吉田:それで、「週3日」と書いてしまったのですね。
鈴木:(笑いながら)そうかもしれません。
吉田:近くに主治医の先生がいらっしゃるのは、とても安心ですね。先生はこのニーズに対して何か役割はないのですか?
鈴木:病気に関する情報や生活上の注意点を教えてくださったりしています。サービス担当者会議に参加はしていただけなかったのですが、照会用紙に記入していただきました。今回の入院の前からおつきあいのある先生だそうで、Kさんも奥さんもとても頼りになさっています。
吉田:鈴木さんも、もし心配なことがあったら相談できそうですか?
鈴木:はい。担当者会議のまとめを持参し、緊張して情報提供のお礼とご挨拶をしてきたのですが、気さくな方で安心しました。
吉田:それはよかったですね。ところでお薬は出されていますか?
鈴木:はい。食後と夜のお薬があります。
吉田:その薬は誰が管理なさっているのでしょう。それに、Kさんの麻痺の程度をお聞きしていなかったですね。まず、Kさんは薬を自分でお飲みになれますか?
鈴木:右半身に麻痺がありますが、手のほうは病院でリハビリを頑張ってきたので、細かいことはまだ不自由だということですが、スプーンを持ったり薬を飲んだりすることはできます。薬は、箱に順番に並べるのを奥さんが手伝われますが、出して飲むのはご自分でなさいます。足のほうは、装具をつければ4点杖で歩ける程度ですが、それをはずしてしまうと足を持ち上げることは難しいです。
吉田:トイレまで一人で行けるということでしたね。歩行以外のADLに関してはどうですか?
鈴木:服を着替えたりは多少手を貸したり、整えたりすることはありますが、ほぼ自立です。食事も箸を使うのは難しいですが、ご自分で召し上がっています。入浴は、病院では看護師の介助があったと聞いています。ご自宅では、息子さんがいるときに手伝ってもらうということでした。奥さんは膝が悪いのでもし一緒に転んでは大変だからと、これはKさんも息子さんも反対されています。外泊した際に、病院のOTさんと相談してシャワーチェアを用意されていたので、しばらくやってみてから、また考えようということになっています。洗面などは、いすを用意して腰かければ、自立してできます。
吉田:そうすると普段過ごしているお部屋の中の移動は心配ないですか。たしかトイレまで段差があるようなお話でしたよね。段差はどこにあって、どんな心配が考えられますか?
鈴木:Kさんのお休みになる部屋はベッドやしっかりしたいすもあるし、フローリングで心配ないのですが、食事をご家族と同じところで取りたいとおっしゃっていて、そこまで行くには段差があります。まずKさんの部屋を出るところの敷居が3センチほど高くなっています。廊下を通って、ダイニングとトイレに行く形になるのですが、まっすぐではなく角を曲がっていかなければなりません。ダイニングの入り口もドアがあり、そこも敷居が高くなっているのと廊下の方へ開くドアなので、誰かに開けてもらわないと入れない状態です。
 廊下を歩くことと、ダイニングまでの移動を安心して行えるよう、訪問リハビリをお願いしました。身体の使い方やバランスの取り方を教えてもらっています。様子を見て必要なら手すりやドアの交換も検討してくださるそうです。
吉田:ずいぶん具体的なことまで把握できていますね。訪問リハビリテーションで行われていることはわかりましたが、訪問介護はどんなことをしていらっしゃるのでしょうか。
鈴木:計画書にもあるように、移動、特にトイレへの歩行の際の介助と実際の排泄にかかわる介助です。あとは、通院時に車いすを押して同行しています。
吉田:どんな介助が必要なのでしょうか?
鈴木:先に説明したとおりです。
吉田:頻度的にヘルパーさんがカバーできる部分は少ないですよね。
鈴木:そうです。しかし、Kさんも奥さまも毎日誰かが来るのでは疲れてしまうとおっしゃって、この計画書にあるように週3回になりました。
吉田:そうですね。初めてサービスをお使いになるので抵抗感や不安がおありだったのでしょう。鈴木さんは、訪問介護サービスを利用することでKさんにどのようになってほしいと考えられましたか?
鈴木:私は(少し考えるように)お手伝いしたい、奥さんに楽になってほしいとは思っていましたが・・・。心配はしていたのですが、回数を増やしたりはできませんでした。
吉田:介助の仕方や、どのようにすると自分で安全に排泄できるかなどに関しては、リハビリの方と情報交換できていますか?
鈴木:サービス担当者会議の場で、目標とすることは確認されていましたが、その後の評価の結果の共有はしていないです。実際には、個々のヘルパーが自分なりの介助をしているといったほうがいいかもしれません。(考え込むように)今の状態の不安を感じてプランに入れたのですが、その先に関してはあまり考えていなかった気がします。
吉田:なるほど、そのことはあとでもう一度一緒に検討しましょう。最後のニーズ(第2表のCこれからも自分らしく楽しく過ごしたい)と目標(家族から頼られる存在でいられる)はどういう理由で、プランに入れようと思われましたか?
鈴木:ニーズはKさんの言葉です。何げない会話のなかで何回か出てきたので、載せたいと考えました。しかし、具体的にどんなことを指すのかお聞きしてもうまく私がつかめず、Kさんの表現をそのまま借りてきました。そのため、サービス内容も「傾聴する」などしか浮かびませんでした(苦笑)。
吉田:具体的な情報がたくさん集まりましたね。鈴木さんもこのプランに関して気づいていることもあるようです。では、次の段階として、ケアプランを作るという視点でもう一度、見直していきましょう。