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【山梨県】

認知症者、広域で見守り スマホで捜索訓練

山梨日日新聞 2017年11月2日(木)
認知症の行方不明者役(左)を見つけて声を掛ける訓練参加者 =山梨市小原東
認知症の行方不明者役(左)を見つけて声を掛ける訓練参加者 =山梨市小原東

 認知症が原因で行方不明になる高齢者が増えているため、山梨、甲州両市と県は31日、県内で初めてとなる市町村の枠を超えた広域捜索訓練を行った。県警によると、昨年1年間の認知症行方不明者の届け出は68人で過去最多。市民らはスマートフォン用のアプリケーションなどを駆使して行方不明者役の職員を探した。参加者は「高齢化社会で認知症が関係するトラブルは誰にも起こりうること」と話し、広域的なネットワークを構築する必要性などを確認した。
 「行方不明者を発見しました。ハナミズキ通りの美容室の近くです」。認知症患者役の山梨市職員を見つけた同市下栗原の会社員斉藤昭人さん(30)は、スマホの捜索アプリで音声案内に従って、患者の家族役の職員に話し掛けた。
 この日は市民の生活圏域が重なる山梨、甲州両市民を対象に、山梨市内の認知症の高齢者が行方不明になったとの想定で実施。山梨市から甲州市に電話で一報を入れ、両市はタクシー業者や介護施設などにファクス送信して情報を共有し、捜索に協力を求めた。
 山梨市の訓練は、民生委員やほかの市町村の福祉担当職員ら約30人が参加。同市が利用を呼び掛ける専用アプリを通してスマホに届く行方不明者の服装や特徴、行方不明になった状況などの情報を頼りに探した。情報に合致する職員を見つけると声を掛けて保護し、アプリなどで家族役の人に連絡した。
 同市内の老人ホーム職員相原靖子さん(50)は「防災無線は情報を正確に聞き取れないことがあり、気になる人がいても自信を持って声を掛けられない。スマホに文字で情報が届くと確認もスムーズだ」と感想を述べた。
 一方、甲州市内の訓練は約200人が参加。同市塩山上於曽の自営業駒井邦子さん(53)は「自宅には86歳の母親がいる。認知症ではないが、徘徊を人ごとと考えず、訓練を生かして積極的に声を掛けたい」と話した。
 県健康長寿推進課によると、今年4月1日時点の認知症高齢者は2万6626人で記録が残る1979年以降で最多。峡東保健福祉事務所によると、65歳以上の高齢者のうち認知症患者の割合は山梨市が11・4%、甲州市は12・5%という。
 県警によると、昨年は認知症が原因で行方不明になったのは前年の約2倍に当たる68人で、7人が山林などで死亡した状態で見つかった。
 県健康長寿推進課の担当者は、認知症高齢者は健康な人も多く、徘徊が広範囲になるケースが増えていると指摘。「捜索が遅れると発見の機会が減りかねない。速やかに情報を共有し、動き出せるように広域ネットワークを構築する必要がある」と話した。