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【京都府】

住民ら一丸、念願の訪問介護実現 京都の山間地

京都新聞 2018年3月5日(月)
仕事を終え、段下さんと次回の打ち合わせをするヘルパーの荒川さん(中央)と安達さん
仕事を終え、段下さんと次回の打ち合わせをするヘルパーの荒川さん(中央)と安達さん

 京都市左京区北部の花背と別所、広河原の3地区で昨年夏、2000年の介護保険制度創設以来、初の訪問介護サービスが始まった。市街地では「当たり前」のサービスだが、北部の山間地では、住民や地域包括支援センター、訪問介護事業所の一丸となった努力でようやく実現した。

 1月下旬。花背別所町で1人暮らしの物部八重子さん(79)宅を訪ねると、京都福祉サービス協会のヘルパー荒川則子さん(61)と安達眞澄さん(49)が既に仕事を始めていた。安達さんは物部さんと一緒におでんを作り、その間に荒川さんが家の拭き掃除をする。

 「ヘルパーさんが来てくれて、気持ちが前向きになりました」と物部さん。昼間は1人の時間が多いが「2人が来ると家の中がぱっとにぎやかになる」と笑顔をみせた。

 契約の1時間が過ぎると、2人は広河原の段下専太郎さん(90)宅へ。「よう来てくれたなぁ」。待ちかねたように出迎えた段下さんの家で、昼食作りが始まった。

 3地区でヘルパーの訪問を受けるのは現在7人。いずれも週1回で、別所社会福祉協議会の藤井優三会長(68)らが住民の都合を聞き、利用日をほぼそろえている。市街地からは車で約1時間かかるため、利用者を一定数確保しなければ採算がとれない事業所の事情に配慮した。

 花背には10年前に小規模多機能施設と同特別養護老人ホームが一体化した「花友はなせ」が開業したが、訪問サービスは今までなかった。「高齢化が進み、1人暮らしではちょっと心配…という人が増えてきた」と、藤井さんは訪問介護導入の背景を指摘する。

 「お年寄りが家で暮らし続けられるよう、個々の状況に合わせて選択肢を増やせないか」との藤井さんの思いに、市左京北地域包括支援センターの山本健夫センター長らも呼応し、昨年2月ごろからヘルパーを派遣する事業所探しが始まった。

 手を挙げたのが、左京区の市原寮と京都福祉サービス協会高野事務所。同協会は約10人のヘルパーが花背での仕事に前向きなことが分かり、高野事務所の藤本敏朗所長が参入を決めた。現在、15人が2人一組で花背を担当している。

 どれだけの利用者がいるか。ヘルパーの負担が大きくないか−。手探りで始まった訪問介護は今のところ順調という。今後の課題は回数とともにサービスの種類を増やすこと。「訪問介護に加え訪問看護も重要。住み慣れた地域で最期まで暮らし続けるために、さらなる環境整備を考えていきたい」と、山本さんは将来を見据える。