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【岡山県】

認知症高齢者の居場所に 倉敷・真備の小規模多機能ホーム

山陽新聞 2018年8月9日(木)
“仮設ホーム”の公民館分館で高齢者を介助する「ぶどうの家真備」のスタッフ(左)
“仮設ホーム”の公民館分館で高齢者を介助する「ぶどうの家真備」のスタッフ(左)

 西日本豪雨で浸水被害を受けた倉敷市真備町箭田の小規模多機能ホーム「ぶどうの家真備」が、近くの公民館分館に設けた“仮設ホーム”を拠点に認知症の高齢者らのケアに当たっている。平屋のホームは水没した。スタッフも被災したが、混乱のさなかの7月7日に受け入れを再開させた。「認知症の高齢者らには居場所が欠かせない」と24時間態勢の見守りを続けている。

 「言葉にできないほどありがたい」。7月20日から認知症の母親が仮設ホームを利用する真備町地区の男性会社員(52)が言った。自宅は浸水した。家族総出で片付けをする時間になると、母親には車の中で過ごしてもらうしかなかった。「安心して預けられる場所がある。家族にとっては本当に大きな支えです」

 十数年前にオープンしたぶどうの家真備は被災前、認知症の高齢者27人を対象に一時預かりや宿泊、訪問ケアなどを行ってきた。豪雨では民家風の平屋施設が天井まで水に漬かった。調理担当を含め15人のスタッフは全員無事だったものの、1人は自宅が浸水被害に遭い、親族や実家が被災した人もいた。

 「それでも認知症の高齢者たちは『生活弱者』。災害で孤立する懸念があり、早急な支援が必要と考えた」。ぶどうの家真備の津田由起子代表(53)は振り返る。

 被災を免れたスタッフが中心となり、直ちに利用者の自宅を訪ねたり、家族と連絡を取ったりして安否を確認した。同時に、避難所となった薗小近くの真備公民館薗分館の一室(約80平方メートル)とテーブルを借り受け、車いすや就寝用のマットレスも順次用意した。

 現在、日中は10人ほどのスタッフが、ホーム利用者以外の高齢者を含めて約20人を受け入れ、10人程度は宿泊にも対応する。ぶどうの家真備管理者の武田直樹さん(45)は「分館を管理する組合や地元のまちづくり協議会、物資を支援してくれる薗小の避難所スタッフと、多くの人に支えられてきた。ホームは真備の地で必ず再開させたい」と話す。