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【島根県】

「母を・・・」「妻を・・・」多い当事者 介護研修に男性続々

山陰中央新報 2018年11月6日(火)
床ずれになりにくいシーツのかけ方を学ぶ男性受講者ら=安来市広瀬町広瀬、市健康福祉センター
床ずれになりにくいシーツのかけ方を学ぶ男性受講者ら=安来市広瀬町広瀬、市健康福祉センター

 介護研修に男性続々−。島根県内9会場で開かれた「介護の入門的研修」に、予想以上の男性受講者があり、運営側を驚かせた。全国的とされる男性介護者の増加を背景に、サポートを求める人が多いことをうかがわせた。

 「在宅介護は一人で抱え込むと続かない。誰かに話すだけで気持ちが楽になる」。安来市で9月にあった同研修では、男性講師の話に19人が聞き入った。

 3日間、介護保険制度や介護の基本技術などを学んだ。受講した松江市西津田10丁目のパート、宮本一人さん(65)は、1人暮らしの90代母親の様子を見るために浜田市の実家に通う。「介護が必要になるかもしれないが、知識がない。具体的な技術を学べてよかった」と話した。

 研修は8、9月に8市1町で開かれた。定員は各会場20人、全体で180人。これに対し計267人が応募する盛況ぶり。介護現場の人手不足を受け、就労につなげるのが主な狙いだったが、家庭の介護に生かそうという受講者が大半だった。さらに運営側が意外だったのは、男性の多さだった。

 島根県から研修の運営を受託した県社会福祉協議会は当初、男性は各会場に数えるほどだろうと見込んでいた。実際には9会場で計69人が受講し、全体の3割近くを占めた。多くが母親や妻を介護する当事者で「担当のケアマネジャーから介護を少し教わったが、うまくいかない。もう少し何とかしてあげたくて」と話す人もいた。

 核家族化や少子化、女性の社会進出に伴う家族形態の変化などに伴い、在宅介護の現場で男性の役割は、徐々に大きくなっている。2001年と16年の「国民生活基礎調査」を比較すると、同居者を介護する人の男女比は、男性が23・6%から34%へアップした。

 介護者のうち、子の配偶者の割合は22・5%から9・7%に減少。従来の担い手だった同居の嫁に代わり、要介護者の夫や息子ら男性の出番が増えていることをうかがわせる。

 男性による介護には、課題はまだ多い。「男性介護者ネットワーク鳥取県」事務局長の吉野立さん(71)=米子市糀町2丁目=は「責任感から『自力で面倒を見ないといけない』と自己流になりがち。負担を減らす方法を知らない傾向が強い」と指摘。虐待など不幸な結果を防ぐためにも、ノウハウを習得する研修など、支援態勢の充実を説く。