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高齢者福祉

【岡山県】

介護予防で広がる「通いの場」 岡山、高齢者ら体操励む

山陽新聞 2018年2月9日(金)
「通いの場」に集い介護予防体操に励むお年寄りら=総社市新本
「通いの場」に集い介護予防体操に励むお年寄りら=総社市新本

 住民が自主的に介護予防のための体操をする取り組みが岡山県内で広がっている。「通いの場」と呼ばれ、少しでも健康寿命を延ばしてもらおうと、各市町村が普及に力を入れている。ただ、開催状況は自治体によって大きな差があり、県内全域で浸透しているわけではない。

 「1、2、3、4…」。お年寄りたちが声を出しながら手足を曲げ伸ばしする。体操は休憩を入れず40分間続いた。

 総社市新本の公民館で毎週開いている「通いの場」。参加者の田中國子さん(90)は「ここに来ると体はしゃきっとするし、ご近所の話題で盛り上がるし、良いことずくめ」と笑う。

 「通いの場」に決まった定義はない。おしゃべりや趣味の活動を楽しむケースもあるが、国は毎週1回以上体操をすることを推奨し、市町村に普及を促している。

 県によると、昨年8月末現在、この条件を満たす「通いの場」は県内に867カ所ある。最も多いのは津山市で201カ所、次いで総社市128カ所、岡山市88カ所、玉野市71カ所、笠岡市60カ所などと続く。

 津山市が2005年に全国の先進地である高知市の取り組みを導入し「こけないからだ体操」と名付けたのを契機に他の自治体にも広がった。「いきいき百歳体操」(総社市や玉野市など)「あっ晴れ! もも太郎体操」(岡山市)「ぼっけぇ元気体操」(井原市)など、各自治体が親しみやすい愛称を付けて普及を図っている。津山や総社のように高知の内容を取り入れているところもあれば、岡山や真庭のようにオリジナルの内容を考案したところもある。

 先進自治体では成果が表れ始めているようだ。

 08年度から取り組んでいる総社市では、高齢化率が年々上がっているのに対し、要介護認定率が14年度末の18・71%をピークに16年度末には18・19%に低下した。

 市内全域の7割の地域で「通いの場」が開かれている津山市も最高の21・4%(13年度末)から昨年3月末には20・2%に下がっている。同市高齢介護課は「数年後には団塊の世代が全員75歳以上となり介護ニーズが急増する見込み。『通いの場』をさらに普及させ、元気なお年寄りを増やしていく」とする。


 国の集計では、体操を毎週1回以上している「通いの場」は、岡山は全国で10番目に多い(15年度)。東京、大阪、愛知などが上位を占めており、65歳以上の人口比では全国で7番目だ。

 しかし、自治体ごとの取り組み状況には開きがある。

 国が示している人口1万人当たり10カ所の開設目標をクリアしているのは11市町村だけ。新見、奈義、久米南、新庄の4市町村は「1カ所もない」としている。高齢化の影響で運営を支えるボランティアが見つからないという。「高齢化に伴って月に1、2度程度集まっておしゃべりをするサロン自体が減っており、毎週行うのはハードルが高い」(久米南町)といった悩みも聞かれる。

 高齢者を支える社会の仕組みづくりに詳しい県立大の村社卓教授(ソーシャルワーク論)は「『通いの場』は、住民同士の見守りや助け合いの機運を高めることにつながる。介護予防に加え、地域の絆を深めるためにも充実を図ってほしい」と話している。