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障害者福祉

【長崎県】

高齢者、障害者向けツアー 介助受けながらゆっくり観光

長崎新聞 2018年3月12日(月)
車いすに乗ってランタンを見上げる豊明さん(手前左)と久美子さん(同右)=長崎市新地町、湊公園
車いすに乗ってランタンを見上げる豊明さん(手前左)と久美子さん(同右)=長崎市新地町、湊公園

 高齢者や障害者が安心して快適に旅行を楽しめるよう配慮した「ユニバーサルツーリズム」。県内の介護事業者など28社でつくる「ながさき福祉事業協同組合」は4月から、介護福祉士や看護師らが旅行に同行する事業を本格的に展開する。2、3の両日、長崎ランタンフェスティバルに合わせ、組合が実施したモニターツアーに同行した。

 「すごくきれい」。2日午後7時、長崎市中心部の湊公園。酒井豊明さん(89)、久美子さん(87)夫妻は車いすに乗ったまま無数のランタンを見上げ、声を上げた。2人がランタンフェスに出掛けたのは10数年ぶり。「こんなに人が多いなんて」。ともに少し興奮した様子だった。

 高齢の2人は、自力で長時間歩行するのは難しい。旅行は半ばあきらめていたが、入居するサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)=長崎市ダイヤランド2丁目=の職員からモニターツアーのことを聞き「どこでもいいから行ってみたい」と申し込んだ。

 この日、2人の介助を担当したのは、いずれも組合員で、酒井さん夫妻が入居するサ高住の施設長、相田準之助さん(43)と介護福祉士の松野さつきさん(42)。2人は夫妻をサ高住まで車で迎えに行き、午後3時半ごろに出発した。

 まず向かったのは昨年12月に落成した新県庁舎。豊明さんは元県職員で、夫妻側から見学を希望したという。到着すると、豊明さんはつえをつき、久美子さんは車いすを押してもらって、8階の展望室へ。「あぶない」。歩行中によろけた豊明さんの肩を相田さんが素早く支えた。相田さんは「無理しないで。ゆっくり行きましょう」と声をかけた。ユニバーサルツーリズムでは、通常よりも休憩や移動の時間を長く取るのが重要という。

 展望室では、豊明さんはソファに腰掛け、久美子さんは外のデッキに出て、長崎港一帯の景観を楽しんだ。その後、庁舎内の食堂で夕食を取ってから湊公園へ移動。公園では2人とも車いすに乗り、メインオブジェの前で記念撮影。約30分間滞在し、宿泊するホテルへ到着したのは午後7時半すぎ。2人は介助を受けながら入浴し、就寝した。

 3日は、市内の商業施設で買い物をするなどして、午後1時ごろ、サ高住に到着。豊明さんは「新県庁舎見学では、現役時代のことを思い出した。連れて行ってくれてありがとうという気持ち」と満足そう。久美子さんは「湊公園はにぎやかで楽しかった。行ってよかった」と笑顔で話した。

◎症状や希望聞いてコース設定

 ながさき福祉事業協同組合が4月から本格展開するユニバーサルツーリズム事業。申し込みがあれば、専門スタッフが本人や家族、ケアマネジャーらと連絡を取り、要介護度や障害の程度、病気の有無、希望する行き先などを聞き取って、県内でコースを設定する。有料。

 旅行者1人につき、介護福祉士や看護師ら原則1人が同行して介助。介助者は必要に応じて増やすため、バリアフリー設備が整っていない観光施設の訪問やホテルへの宿泊も可能。今回のモニターツアーでは、介助者とは別のスタッフが車を運転して移動したが、4月からは主に介護タクシーを利用する。

 申し込み受け付けは、すでに開始。里見浩則理事長は「高齢者や障害者でも気軽に長崎に来てもらい魅力を感じてほしい」としている。同組合(095・842・0052)。