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障害者福祉

【愛知県】

障害者在宅就労へ傾聴学ぶ ALSの女性が受講第1号

中日新聞 2018年7月13日(金)
佐藤さん(左)と市役所を訪れ、テレビ電話を体験する藤田さん=東海市役所で
佐藤さん(左)と市役所を訪れ、テレビ電話を体験する藤田さん=東海市役所で

 愛知県東海市が、市内の障害者を対象にカウンセリング技術を養い、テレビ電話を通じて高齢者の話を聞くことを仕事にしてもらう事業で、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う同市加木屋町の藤田美佳子さん(47)が、養成講座の最初の受講者に決まった。「誰かの役に立てることは、生きる喜び。わくわくしている」と笑顔を見せる。(稲垣時太郎)

 事業は、障害者の在宅での就労拡大と高齢者の元気づくりにつなげる狙い。脊髄性筋萎縮症で寝たきりの生活を送りながら、会社を経営する同市加木屋町の佐藤仙務さん(27)が、市に提案した。

 東京の一般社団法人「日本ピアカウンセリングアカデミー(JPA)」が開く全12回の養成講座を市内の障害者に受講してもらい、市が一人当たりの費用約12万円を全額補助する。市は5人分の計60万円を予算化し、受講希望者を募っている。

 藤田さんは3〜4年前、右手に力が入らない違和感に気付いた。昨年6月に、全身の筋力が徐々に弱くなるALSと診断され、身体障害者手帳の交付を受けた。以前は銀行員やカフェの店員などもしていたが、病気の怖さに加え、働けなくなったことに、気持ちが沈んだ。

 11月、長女が通う中学校で佐藤さんの講演を聞いた。「私と同じような病気。指しか動かせないのに、仕事もしているし、元気にランチにも出掛けている」と生き方に衝撃を受け、交流を始めた。

 現在は両手の握力がほとんどなく、両腕は肩から上に上がらないが、リハビリをしながら家事をこなしている。佐藤さんから講座の受講を勧められ、「やってみよう」と決心した。

 講座は14日に始まり、スマートフォンを使ったテレビ電話を通じて、全12回を2カ月ほどかけて受ける。

 10日には佐藤さんと市役所を訪れ、パソコンを使ったテレビ電話を体験した。相手は東京にいるJPA代表理事の大橋稔さん(43)。「銀行で窓口の仕事をしていたので、高齢者のお客さんも多かった。ゆっくりと話を聞き、共感してということを意識していた」と経験を話した。

 佐藤さんは「藤田さんは働いていた経験もあり、コミュニケーション能力が高い。ぜひ頑張っていただければ」と応援していた。