サービス取組み事例紹介
障害者福祉

沖縄県 特定非営利活動法人 ミラソル会

2年間で42人、就職率94%を誇る、就労サポートセンターミラソル

一般就労の実績が著しい事業者、企業内での実習の取り組みなど、一般就労へ向けた取り組みとして優秀な事例を紹介します。

インタビュー風景(動画)




2年間で43人が就職!就職率は94%


朝礼の様子

 沖縄県那覇市、かつての米軍基地が生まれ変わった新しい街に就労サポートセンター ミラソルがあります。運営母体のNPO法人ミラソル会は、精神障害者小規模作業所を出発点とし、住居・生活支援、就労支援を柱に、障害のある方々の地域生活を支えてきました。ミラソルは、平成18年3月より現在の場所で3障害対応の就労支援に特化した事業を行なっています。
 ミラソルでは授産活動は一切行ないません。職業訓練を目的とする活動メニューは?民間企業での実習 A就職に向けた座学――の2本立て。?の実習は、職場実習(3ヵ所)とグループ就労訓練(2ヵ所)による実践的な職業リハビリテーションです。一般就労を見据え、企業内で実習、訓練を行うことが、その人の働く力を高めるのに最も効果的であると考えています。Aの座学では、雇用面接シミュレーション、販売接客シミュレーション、ビジネスマナー、OA操作、電話接遇などを習得し、民間企業で通用する基本的な職業スキルを身につけます。
 「就職の準備が整った人から、就労移行させる」ことにしており、就労移行支援、就労継続支援B型、いずれの所属であっても平均3ヵ月〜6ヶ月という短期間での就職を実現させています。
 ミラソル全体で、平成18年度は18名、平成19年度は25名が就労しており、平均就職率は94%、定着率(就職してから6ヶ月以上就労した率)は87.2%の実績を誇っています。


夢と特性に合わせて


利用者とジョブサポーター

 高い就職率と定着率の秘訣は、「本人の夢と特性に合わせたブレのない就労支援」にあります。職場実習と並行して、スタッフは@アセスメント、A職場開拓、B企業コーディネート・サポート を利用者 一人ひとりの夢と特性に合わせて進めます。これらのサポートを、センター長を含めわずか6人のスタッフ(うち、2名がジョブコーチ)で行なっているというのは驚きです。
 「ちゅらライフ」と称されるアセスメントでは、利用者自身がどこで、どんな仕事をどのようにやりたいか、仕事を通じて何を得たいか、どんな暮らしを目指すかなどを自由に紙に書き、これを毎週更新するワークを行います。職場実習と並行して取り組むことで、希望する仕事のイメージも徐々に具体化するといいます。スタッフは利用者の希望をふまえて、現状とのギャップを見極め、必要な支援を計画・実施します。
 次は職場開拓。希望に沿った職種の採用情報を一般求人誌などから探し、応募につなげます。中小企業が多く失業率も高い沖縄で、新たな職場を開拓するのは大変な仕事と思われますが、一杉センター長の答えは明快です。「中小企業ならば社長に直接会える。障害者雇用に関する先入観が少ない分、企業にとってのメリットを提案すれば理解も早い」。地域のネットワークをフルに活用して、実績を積み上げています。
 企業に対し障害者雇用を提案する際に重要なのは、事業所の視点に立った具体的な情報提供とアドバイスです。助成金制度など事業所にとって有益な情報を伝えるとともに、障害特性、個々の障害者の個性の把握、接し方や指導方法など、障害者雇用のノウハウをしっかりと伝えます。ジョブコーチは、利用者にとって働きやすい職場環境を整えるのはもちろんのこと、時には「求める成果がその程度で本当に障害者が自社の戦力になると思うか」など企業の立場に立って本音で担当者と話し合い、形だけの障害者雇用にならないようアドバイスします。利用者、事業所双方の目指すレベルをすり合わせ、同じ目標を持って仕事を開始・継続することが重要なのです。ミラソルのスタッフは、利用者と事業所双方のサポーター役を担っています。


実習場所での働きぶりが高評価!!


スポーツデポでの実習の様子 ・・ハンギング作業・・

 ミラソルの一日はミーティングから始まります。登所してから、ミーティングが始まるまで、私語は禁止。まず障害者自身が一般求人情報誌から自分の希望求人を探しています。ミーティングは体調のチェックと1日の予定確認、その後マナー訓練を行います。大きな声で挨拶や、接客用語を全員で復唱します。室内屋外の清掃後、それぞれの職場実習場所へ向かいます。
 民間企業3ヵ所で職場実習をします。今回はその一つであるスポーツ量販店「スポーツデポ」を取材しました。ここでは、バックヤードでの商品のハンギング作業を行なっています。2人1組となり、段ボールから手際よく商品を出し、サイズ別のクリップをつけてハンガーにかけていく仕事です。ハンギングされた商品はそのまま店舗へ。一見簡単そうですが、正確さと見栄えを要求されます。また、売場に商品を運んだり、陳列棚の掃除をしたりといった店頭での実習は、緊張を伴いますが、障害者にとっては貴重な体験。本物の職場が職業人としての意識と自信を育てます。
 スポーツデポ担当の安谷屋(あだにや)さんによると、「みなさん 真面目で、いつも元気よくあいさつしてくれます。仕事も丁寧で早いので、助かっています」とのこと。
 職場実習を継続して受け入れている理由をうかがったところ、「先輩社員の活躍」と「実習者の業務レベルの高さ」と明快な答えが返ってきました。職場実習を経て同社に採用された濱川さんは、優れたお客様サービスが評判となり、地元紙にも取り上げられるほどの活躍ぶり。後に続けとばかり実習する面々にも熱が入ります。


座学で実践力をつける


座学の様子 ・・雇用面接シミュレーション・・

 座学ではOA操作、電話接遇訓練、販売接客シミュレーション、雇用面接シミュレーション、ビジネスマナー、履歴書作成など、働くために必要な技術、対人技能、自己表出性を高めています。繰り返しトレーニングすることで実践力を身につけます。また、興味深いプログラムの一つに郷土講座があります。沖縄の地理や風習、特産物などを学ぶことで、就労後、職場の方々とスムーズなコミュニケーションを取るのに役立つそうです。
 座学が始まるのは13時からですが、10分前行動を旨とするミラソルでは、5分前には利用者自身で座学に必要な準備を行い待機しています。
 今回の取材では、雇用面接シミュレーションを拝見しました。面接の基本5項目?相手の目を見るA正しい姿勢B大きな声でハッキリとC職場実習や座学の内容紹介D自己アピールなどを確認した後、各人が面接シミュレーションを行います。一人ひとりのシミュレーションに対し、他の参加者が他者評価として、良かった点、改善点を挙げます。こうして気づきをアウトプットすることで、評価した人も自分の成長につなげられる工夫がなされています。


余分なことはしない


センター長 一杉氏

 ミラソルは職業リハビリからジョブマッチング、フォローアップまでの一貫支援というシンプルなプログラムが特徴です。「就職したい人を支援し、確実に就職させる」という目的に照らし、「余分なことはしない」、「限られた資源で最大限の成果を狙う」という姿勢を貫いた結果、今のシステムが完成したといえます。職業訓練のための生産設備は自前で持たないのも方針の一つです。「企業で通用するスピードと処理量を学ぶには現場に入るのが一番効果的。お金がなくてもできますし」と一杉センター長は笑顔で語ります。
 支援のポイントは、ゴールから逆算した最短コースの支援計画と実践にこだわった訓練。ゴールは「民間企業で通用する職業人を作る」というただ一点です。ジョブコーチや職業カウンセラーのノウハウを活用し、実習との組み合わせが重要な座学ではSST(ソーシャルスキルズトレーニング)も用いて、就労生活を送るための準備を繰り返しトレーニングします。
 ヒト・モノ・カネの限られている事業所でも、これだけの就労移行実績を作れる・・ミラソルの取組みは全国の就労移行支援のモデルになりそうです。


取材日 : 平成20年4月

今回のポイント


@ ゴールからスタート:民間企業で通用する職業人を作ることをゴールとして、そこから一人ひとりの能力に即した支援をスタートさせている
A 職業リハビリからジョブマッチング、フォローアップまでを一貫支援するシンプルなプログラム
B 訓練設備を自前で持たず、地域の民間企業を就労訓練の場として開拓・活用している


経営コンサルタント 梅本 伸一

施設概要


施設名就労サポートセンター・ミラソル
設置者名特定非営利活動法人ミラソル会
所在地沖縄県那覇市天久2-19-22
電話番号098-894-5570
代表者センター長 一杉 光男氏
施設種類就労移行支援
就労継続支援B型
自立訓練
障害者職業委託訓練
障害種別身体障害、知的障害、精神障害
開所時期平成18年3月
利用者数定員28名 契約20名
職員数常勤6名 非常勤0名 計6名
FAX098-894-5570
連絡担当者センター長 一杉 光男氏
事業内容民間企業での職場実習(バックヤードでのハンギング作業、
介護補助作業、清掃作業、食品包装作業等)
平均工賃――