サービス取組み事例紹介
障害者福祉

愛知県 社会福祉法人さくらんぼの会

地域密着で配食弁当事業を主力に利用者全員の工賃5万円を目指すさくらんぼ作業所

事業を活性化し、工賃を伸ばしている事例を紹介します。

インタビュー風景(動画)




障害者の笑顔を作りたいという理念


お弁当盛り付けの様子  名古屋市中川区下之一色町は古くは漁師町、その面影が残る住宅街に、社会福祉法人さくらんぼの会 多機能型さくらんぼ作業所があります。お弁当配食事業を主力にして、地域のパチンコ屋さんの景品請負業務、クロネコメール便などの事業を行い,事業所目標の「利用者平均月額工賃全員5万円」に向け利用者と職員が一丸となり、邁進中です。高齢化が進みつつあったこの地域に今から15年前、無認可小規模作業所として、職員1名、利用者3名でさくらんぼはスタートしました。その後、利用希望者の増加に伴い、施設を増やし、現在のさくらんぼ作業所が2005年8月に新築され、職員・パート17名、利用者40名の規模へ成長しました。開所当時から、さくらんぼの会の理念である「障害者の笑顔と夢ある未来を創ります!」を念頭に、工賃アップに取り組んでいます。しかしながら当時は、割りばしの下請け作業などで月2,000円ほどの工賃を利用者に支払うのがやっとという状態でした。


全利用者の工賃アップを目指す!


数値目標を全員が共有  工賃アップへの情熱を持っていた大野理事は、当時、下請け作業の仕事に限界を感じはじめていました。そんな折、ある財団主催のセミナーに参加し、工賃5万円を実現した事業所の事例発表を聞きました。「先進事例を見て刺激を受けた。もっと高い工賃を払いたい、利用者の笑顔が見たい!」。そう思った大野理事は、その日から、参考になるような事業所はないかと絶えずアンテナを張り、情報を収集することとなります。そうしたところ、同じ名古屋市内で配食弁当事業を、重度障害者を含めておこなっている事業所に出会い、そこで働く利用者の輝く笑顔を見て、2005年新施設立ち上げと同時に配食弁当事業を興すことを決意、同時に、外部の助成事業にも手を上げ、実際に事業を展開していくことになったのです。目標は、「全利用者工賃50,000円!」。経営コンサルタントの指導のもと、収益の低い事業には見切りをつけ、弁当事業を主力にした新たな事業体制でスタートしたのでした。情熱だけでは工賃アップは実現できないと、経営の視点を事業に取り入れ、同時に職員の意識改革を行い、大野理事以下職員一丸となって工賃アップに取り組み、工賃32000円(最高45000円)を突破!現在も邁進中です。


思いもかけなかった利用者の意識の変化


ゼリーの袋詰めの様子  さくらんぼ作業所には、就労支援B型・就労移行・生活介護の障害者がそれぞれの特性により仕事を分担して、それぞれが自分の仕事に誇りと責任を持っています。
 配食弁当事業の製造部門では、職員と利用者の明確な役割分担によるチームプレイ、機械化による効率化、更には利用者の仕事への意識の高さもあって、時間通りの作業が可能となり、昼食等で140食ごえ(2008年7月)と高い生産性を上げています。また、配食弁当事業のバックヤード部門とメール便のバックヤード部門、そしてパチンコ屋さんの景品部門(袋詰めゼリー)などの作業もそれぞれの利用者が責任感を持ち、仕事を分担して進めています。
 職員の日高さんは次のように語ってくれました。
 「仕事をしていく中で、利用者ひとりひとりに変化が見えてきました。仕事ができる喜びだけではなくて真剣な態度に変わってきたのです。例えば、ネギを切る作業を2時間でも3時間でも黙々と自分の仕事として責任感を持ってやっている利用者がいます。そのネギを切る担当の利用者が休みをとることになったときの話です。その利用者は、自分が切るネギは誰がやるの?自分がいないとだめなんだ。自分がいないときはどうするの?・・・以前はありえなかったことです。ネギがないと味噌汁ができないという、作業全体が見えてくるようになったのです。自ら責任を持って仕事をする意識が高まった結果だと思います」
 自分が作ったものを食べて喜んでもらえる⇒やりがいを感じる⇒仕事をする動機付けが生まれる、こんな素敵な循環が生まれました。
 自分の仕事であるという認識をしっかりともって仕事に取り組むことで、正確な作業、スピード化、生産性の向上につながりました。


地域密着の営業と配達


配達の様子  お弁当の配達エリアにも工夫を凝らしました。事業所から半径3キロ以内(車で10分位)に限定し、効率化を追求しました。更に配達個数の増加に対応して、配送車を3台に増やし、配達ルートを細分化しました。
 4月からは営業部隊を編成しました。日中働いている職員やパートだけでなく、ケアホームやホームヘルプの職員を巻き込んで全員で営業に取り組みました。配達エリアをローラー作戦で一軒ずつ回り、一度で駄目なら二度三度、更に営業担当を替え、営業しました。その結果、お弁当の問合せが増え、1日あたりのお弁当受注件数が140個(2008年7月現在)を超えるようになったのです。


工賃50,000円実現を目指して


玄関前に目標を掲示  大野理事は、全利用者平均工賃50,000円実現のために、自らが強い意思と強力なリーダーシップを持って、家族会、利用者、職員のベクトルをひとつにして、プロジェクトを推進していると話してくださいました。以前は職員全体に数値管理の意識がなく、日々の売り上げ集計も単なる数字の羅列であり、売掛金回収ひとつをとっても誰も把握していませんでした。経営的な視点を助成事業から学び、現場で一つひとつ実践していくことの大切さを実感しました。数字の把握をしやすいようにこの春には社内LANの構築・整備を行いました。数値管理を一元化し、日々の売り上げ・粗利・売り掛けの管理をおこなっています。また、主力の配食弁当事業も立ち上げ当初から、設備投資を計画的におこなっており、一日200食の対応が可能です。140食は通過点、200食を目指して、作業導線、配置、分担の見直し、事業所半径3キロエリアへの積極的な営業を進めています。そして次の事業構想として、買い物代行事業を始めようとしています。地域一帯が高齢化と商店街の衰退により、高齢者の買い物事情悪化という現状を踏まえてのことでした。配食弁当事業と同様に地域密着のエリアを絞ることで、短時間高効率化を目指しています。
 既存販売先での販売数アップ・栄養士管理による商品力アップ・職員の営業による販路拡大・新規事業の推進・数値管理、これらを着実に実行している現在、目標工賃の達成が近いと感じました。

取材日 : 平成20年8月

今回のポイント


@ 就労継続、生活介護(重度の利用者を含めた)全利用者の平均工賃月額5万円という高い目標を設定し、事業所一丸となって取り組んでいる。
A 配食弁当・買物代行など地域密着型の事業に絞り込み、商圏を事業所半径3キロ以内にしたことで、効率的な営業ができている。
B 職員・パート・利用者ともに仕事に対する責任感があり、ひとりひとりの主体的な行動が、生産性の向上につながっている。

経営コンサルタント 奥村 耕志

施設概要


施設名 多機能型さくらんぼ(旧 さくらんぼ作業所)
設置者名 社会福祉法人さくらんぼの会
所在地 愛知県名古屋市中川区下之一色町字古川19-1
電話番号 052-301-0990
代表者 理事長 西山 咲子 氏
施設種類 就労継続支援B型、生活介護
障害種別 身体障害、知的障害、精神障害
開所時期 平成17年8月
利用者数 45名
職員数 17名
FAX 052-301-0992
連絡担当者 理事 大野 健志 氏
事業内容 弁当事業(宅配弁当、高齢者配食サービス)
平均工賃 32000円(最高45000円)


平成21年12月現在

事業所コメント


働くことは笑顔づくり!
全国でたくさんの障害を持つ方々の笑顔を作っていきましょう!!