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連載コラム
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職場のコミュニケーション力

全24回に渡って、“職場内のコミュニケーション”にフォーカスを当て、職場風土を改善するためのさまざまなヒントをお届けしてまいります。


<執筆>
株式会社メディケアソリューション
代表取締役 鯨岡 栄一郎
http://coachpt.com/

第19回: クレームに対する効果的な対応法

コミュニケーション能力が最も試される“クレーム対応”

 私たちが働くうえで、患者(利用者)さんや、そのご家族からクレームをいただくことは少なくありません。組織運営上のリスクマネジメントのなかでも、クレーム対応は大きな要素となります。実は、これは表情、姿勢など非言語の要素も含むコミュニケーション能力が最も試される場面でもあります。

 最も重要になるのは、そもそも“クレームを何ととらえるか”ということです。あなたは、「クレーム」や「苦情」と聞くと、どんなことを連想するでしょうか?「文句」、「不平」、「嫌なこと」、「面倒なこと」でしょうか?それとも「改善の種」、「貴重なご意見」、「言っていただいてありがたい」と思えるでしょうか?よく「苦情処理」という言葉にも代表されますが、その意味づけや言い方如何によって、受けた時の態度、感情はおのずと変わってしまうのです。ここでまず、クレームに対する意味づけを書き換えてください。

 そこで今回は、苦情にうまく対応するための基本的な3原則をご紹介します。

(1) よく聴くこと
相手が訴えようとしていることは何なのかを、まずはよく聴く必要があります。相手の思いを受け止め、その論点を正確に汲み取ること。また、溜まっている不満を吐き出してもらい、すっきり楽になっていただく、そのような目的があります。この時に「でも」、「いや」、「ですが」などの逆説の接続詞は相手の言ったことに否定的な印象を与えてしまいます。こちらの意見や言い分を伝えるときは、相手の意見をいったん「そうですよね」、「なるほど」、「おっしゃる通りです」と受け止め、「それでしたら」、「では」、「そこで」のようにその後につなげていきます。くれぐれも、相手の意見が妥当か、正しいかは論点にしないことです。相手の立場に立って、「そのような思いをされているのですね」とその思いに共感を示すことが重要です。

(2) 迅速性
クレームを受けてから、実際に改善・対応し、相手に返事を返すまでの時間をできるだけ短くすることです。それがまた誠意の表れでもあります。これによって信頼関係を挽回することも可能なのです。この時、途中経過をお知らせすることも効果的です。逆に、いくら謝罪したとしても、後手後手になれば何にもなりません。組織の姿勢がみえてしまい、相手の怒りにかえって火に油を注ぐことにもつながります。

(3) 組織で対応する
まずは速やかに上司に報告し、指示を仰ぐことが大事です。そして、メンバーが同じミスを繰り返さないようにする意味でも、共有化が重要になります。くれぐれも単独行動はよくありません。面談の際は、上司と部下などペアで対応することが望ましいです。クレーム内容を記録し、「言った言わない」の問題に発展することを防いだり、「どこにポイントがあるのか」を整理していきます。

 上記3点で共通したスタンスは、“真摯な姿勢”です。よく、「誠意がみられない」という言い方があります。誠意とは何なのでしょうか?実態がみえづらいところですが、やはり「気持ち」なわけです。「面倒だ」と思えば、どうしてもそれは伝わってしまいます。

 クレームとは、その目先の不備そのものということもありますが、実は元々の信頼関係不足に起因しているのです。信頼関係が構築されていないからこそ、これまでの不満が爆発し、大ごとに発展してしまう。だからこそ、普段からの関わりが非常に大切になります。

 クレームは、決して悪いものではありません。クレームがゼロだからよい施設、というわけではありません。物申せない風通しの悪い施設、と言い換えることもできるのです。クレームは相手が望んでいることを知る、とても貴重な情報源になりますので、怖がらず、謙虚な気持ちで聞き、私たちのコミュニケーションスキルをアップさせる絶好の機会にしていきましょう。

●「医療福祉の現場で使える『コミュニケーション術』実践講座」 鯨岡栄一郎 2012 運動と医学の出版社


※ この記事は月刊誌「WAM」平成26年10月号に掲載されたものです。
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