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第10回: 適正な法定点検の実施と法定点検に学ぶかしこい建物管理

「はじめに」

 今回は、法定点検のうち、特定行政庁が指定する特殊建築物の定期調査・検査報告(建築基準法第12 条)の今後につなげるためのポイントについて紹介いたします。

建築基準法第12 条点検とは

 建築物のなかで不特定多数の人が利用する建物(学校、病院、百貨店、マーケット、旅館、ホテル、劇場、映画館、共同住宅など)を「特殊建築物」といいます。特殊建築物は、地震、火災などの災害が起こると大惨事を引き起こすおそれがあり、建築物を安全に使い続けるため、私たちが健診を受けるのと同じように、定期的調査・検査を受ける必要があります。
 建築基準法第12 条では、特殊建築物の建築物や建築設備(「建築物等」)について、その所有者や管理者が、定期的に専門の技術者に安全性を調査・検査させて、結果を特定行政庁へ報告するように定めています。これが「定期報告制度」で、建築物等の所有者および管理者の社会的な責任として、防災に努め、利用者の安全を図っていただくための制度です。

建築基準法第12 条点検の大切さ

 定期調査報告は、適正な維持管理を行っているかを問われているもので、建築物等の設計図書の有無、建物の状況、履歴、模様替え、修繕や用途変更、管理体制等の厳密な把握・管理が必要になります。
調査業務の流れは次の通りとなります。
 「予備調査→調査計画(調査経路の手順)→契約→設計図書のチェックと整備→調査実施→調査のまとめ→建物管理者への調査報告→調査結果資料の整備→特定行政庁への報告」。
 この調査によって、所有者や管理者に建築物等を常時適法な状態に維持するように義務が課されています。  将来の増改築時において、定期調査報告の内容は重要なポイントで、建築物等の維持管理を効率よく実施するうえで、大切な法定調査・検査となります。

設計士が調査すると気づく、新たな改善点や現場ニーズを確認することの大切さ

 調査を行う設計士の調査内容としては、建築物等の全体の機能が維持されているか、さらにはその機能が適正にかつ円滑に維持し、稼働できているかどうかをチェックします。
 建築物等が使用条件の変更や使用頻度などにより、設備の機能が損なわれていないか、建築基準法上の要求水準を満たしているかについても調査によって判明します。そのため、調査設計士と同行することによって、建築物等の普段から気になっている点やちょっとした問題点を建築基準法に照らしあわせながら、その場で確認ができ、いち早い是正に向けた行動がとれます。
 これらの確認事項は、建築物等の維持保全上重要なもので、別冊の調査報告として作成し、現状の建築物等を理解するうえで、大切な成果物となります。

是正事項の適正な改善発注方法とは

調査結果により、是非項目に当たるものの品番・数量を控える。
是非する内容や数量によって金額が大きくなるため、年度ごとの改善計画を作成。
是非項目について、は優先度を明確にし、早急に対応すべき項目などを把握し、年度改善計画の判断資料とする。
改善計画を元に予算を組み、経済性のある建築物等の維持管理を行う。
さらに、定期報告是非項目の改善計画だけでなく、老朽度調査なども考慮し、建築物等の更新時期などを建物カルテや施設台帳に反映させることにより、経済性と効率を高めた改善発注ができます。

建築基準法に沿い、改修企画前の法的確認を大切にすることで、重複投資を避ける

 通常であれば建築基準法第12 条に沿った法定点検と定期報告書の提出、建築物等の管理者への是正報告で完結することですが、当社では建築物等の維持管理コンサルタントをさせていただいているお客様へのこの調査については、日頃から蓄積している建築物等のデータ(問診表・建物カルテ・建物台帳・周期表・改善計画書など)を元に定期報告書作成業務を実施しています。  言いかえれば24 時間365 日間、建築物等に関わり、前提としてすべてにおいて適法に建築物等が稼働していることと、さらに将来の改修計画に対しての重複投資を避けるための効力もあります。
 建築物等の法定点検については、今回紹介した点検以外にもありますが、当社はそれぞれの点検業務を個別で実施するのではなく、建築物等の全体の稼働状況に関連づけながら実施することでお客様が安心して利用できる建築物等の維持管理を目指しています。

 次回は、消防設備点検についてご紹介します。

※ この記事は月刊誌「WAM」平成27年1月号に掲載されたものです。
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