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連載コラム
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トラブルに学ぶリスク対策

介護現場で起きた事例を踏まえ、原因とその防止策のポイントをお伝えしていきます。



<執筆>
株式会社安全な介護 代表取締役
山田 滋(やまだ しげる)
<プロフィール>
介護現場で積み上げた実践に基づくリスクマネジメントの方法論は、「わかりやすく実践的」と好評。著書に『安全な介護』(筒井書房)、『介護施設の災害対策ハンドブック』(中央法規)など多数

事例I:不審な傷を放置して虐待の苦情申立

こんな事故が起きました!

特養の利用者の息子さんが、母親の爪を切ろうと靴下を脱がせたところ、足の指の付け根の裏に小さな切り傷を発見しました。靴下も血に染まっていたので看護師を呼び手当てをしてもらいましたが、息子さんは「どうしてこんなところに傷がつくのか?」と不思議に思いました。看護師を通じて入浴の介助の状況などを調べてもらいましたが原因がわからず、息子さんは施設長に対して「職員による虐待の疑いがあるので調べて欲しい」と訴えました。ところが、「うちの職員がそんなことするはずがない、虐待は絶対にない」と取りあってもらえず、息子さんは国民健康保険団体連合会に苦情申立をしました。

事故原因と防止対策

本事例のトラブルの原因は、不審な傷に対して原因究明もせず、丁寧な対応をしなかったことにあります。私たちは生活していればちょっとした傷がつくこともありますし、どこかにぶつけてアザを作ることもあり、これをすべて防止しろというわけではありません。しかし、家族が神経質になるような不審な傷やアザが発生することも事実です。たとえ小さな傷でも「いったいどうしたらこんなところに傷ができるのだろう」という不審な傷であれば、職員による虐待を疑う家族がいますし、打ち身のアザを見れば「もっと強くぶつけたら骨折するだろう」と心配になるのです。

ですから、施設側では、どんな場面でできた傷やアザなのかを推定し、さまざまな場面をチェックして、できる限りの再発防止策を講じなければなりません。確実な事故原因は判明しなくても、家族は施設の原因究明や再発防止の姿勢に対して評価してくれるのです。そのため、たとえ小さな傷でも職員はすぐに看護師と相談員に報告し、家族がある程度納得のいく説明をしなければなりません。

以下の表は、以前病院の外科に勤務していた特養の看護師が作成した傷とアザの原因推定の資料です。この看護師は、大抵の傷やアザをみると、その原因をみつけるため「傷の千里眼」と呼ばれていました。

■傷の形状と原因推定表

傷の形状 他物との接触の仕方
擦過傷(広く浅い) ザラザラしたものに擦れたために、皮膚上に広く細かく傷付く。
擦過傷(線状に浅い) 先の尖ったものに軽く触れたため皮膚が細長く浅く傷付く。
裂傷(線状の深い傷) 尖ったもので強く引っ掻いたため皮膚がえぐれ、皮膚の剥離も起こる。
裂傷(裂け傷) 打撃・ねじれ・皮膚の引きつりなどにより皮膚が裂ける。皮膚の剥離も起こる。
切創(切り傷) ナイフなどの鋭利な刃物で切ったための傷で創面が滑らか。
刺し傷 針などの尖ったもので刺されたために、皮膚に細い穿孔ができる。

■内出血の形状と衝突物の推定

内出血の形状 他物との接触の仕方
小さくくっきりしている 先の尖ったものに衝突してできた内出血、皮下の浅い部分が出血する。
広くぼんやりしている 丸みのあるものに衝突してでき内出血、皮下の深い部分が出血する。
比較的細くくっきりしている 挟んだり、つねるなどしてできた内出血、皮下の浅い部分が出血する。
トラブルを避ける事故対応

上記のように、傷やアザを放置しないでできる限り家族に説明することは大切ですが、この事故が国民健康保険団体連合会への苦情申立になった原因は施設長の対応です。家族は施設に苦情申立をしたのですから、たとえどのような内容であっても対応する義務があります。では、なぜ施設長はこのような感情的な対応をしてしまったのでしょうか? それは、管理者用のマニュアルがないからです。どの業界や会社でも社員の不正が疑われるというクレームは発生するので、その対応方法は必ず管理者用のマニュアルに書いてあるのです。介護業界ではコンプライアンスなどに関わる、管理者用の危機管理マニュアルがないことが大きな問題です。各施設では、管理者用のマニュアルを作成しておくことが必要です。

※ この記事は月刊誌「WAM」平成27年4月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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