トップ背景

トップ

高齢・介護

医療

障害者福祉

子ども・家庭

知りたい

wamnetアイコン
検索アイコン
知りたいアイコン
ロックアイコン会員入口
トップアイコン1トップ |
高齢アイコン高齢・介護 |
医療アイコン医療|
障害者福祉アイコン障害者福祉|
子どもアイコン子ども・家庭
アイコン



勤怠管理システム・勤務シフト作成支援システム
福祉医療広告

高齢・介護
医療
障害者福祉
子ども・家庭

福祉医療経営情報
トップ

DPCデータを活用した経営改善策

全6回にわたって、病院内のさまざまな部署で、そのようにDPCデータを活用し経営につなげていくかをみていきます。


<執筆> NPO法人病院経営支援機構  藤井 将志

第3回:DPCのデータ分析を業務改善につなげるには


DPCデータを使いパスを見直す


 3回目となる今回は診療科への説明にDPCデータを活用することをみていきます。いわゆる”DPC分析“といえば、今回のような内容をイメージするでしょう。
 DPCデータは診療行為のすべてがデータ化されています。これらのデータをひも解いて、医師に対してヒアリングをし、診療行為を見直してもらう、というものです。
 わかりやすいのが「クリニカルパスを変更する」視点で診療内容を見直すものです。一般的にパスでは横軸に入院日からの経過日、縦軸に標準的な診療行為が記載されています。DPCの「E・Fファイル」のデータも患者ごとに同じような形式にすることができます。DPCデータは診療行為のすべてが含まれるため、パスに記載されている項目以上に詳細な内容が確認できるでしょう(図表参照)。


画像拡大

 まずは、パスに盛り込まれた内容がしっかりと実施できているかを確認します。コメディカルが関わる栄養指導や服薬指導、リハビリはDPC下においても出来高で算定できる項目です。服薬指導やリハビリにおいては退院時の指導も含めて漏れていないか確認してください。もし、対象パスにおいて、これらの指導をすべき疾患であるにも関わらずパスに盛り込まれていない場合は、ぜひ組み込むことをおすすめします。
 肺血栓予防管理料や在宅療養指導料、退院調整加算といった主に看護師が関わる内容も、出来高で評価される項目ですが忘れがちです。あわせてパスに盛り込めるかどうか確認してください。

分析の対象DPCを選ぶ視点


 DPC分析ソフトを導入している、もしくは近隣病院やグループ病院間でDPCデータを共有しているところは、診療内容を他病院と比較することもできます。他病院と比較することが難しい場合は、各学会などから提示されているガイドラインなどと比較することも可能です。
 まず分析の対象疾患を絞る視点についてです。DPC包括点数と出来高点数の差がマイナスであっても、一概に収益がマイナスの疾病であるとはいえません。しかし、出来高点数というのは投下した医療資源の量を反映している傾向があり、この出来高差の数字がマイナスということは、医療資源が必要以上に投下されている可能性が疑われます。このため、ひとまず分析対象を選ぶには出来高差がマイナスのDPCから実施するといいでしょう。しかし、対象DPCの症例数が少なすぎると一部の異常値(アウトライヤー)に引っ張られて、DPC全体の出来高差がマイナスになることもあるので、症例数が多くかつ出来高差がマイナスのDPCから分析することが最も効率的です。

DPC別分析の視点


 続いて個々のDPCの分析視点についてです。収益に影響が大きいのは、投薬や診療材料の使用についてです。他病院とDPC別(診断群分類別)に比較して、投薬や診療材料にかかる費用(出来高換算の値)が高い場合は、さらに深掘りをします。「投薬・診療材料の費用=使用回数×単価」ですので、1入院中の、@使用回数が多いのか、A単価が高いのかのどちらか、もしくは@Aの両方が原因でしょう。
 例えば@の場合、抗生剤の使用日数が他病院より多い、Aの場合、使用する抗生剤が後発品に切り替わっていない、といったことまで原因を特定できます。これらの具体的な結果をもとに、対象診療科の医師にヒアリングをし、見直すことが可能か検討してもらいます。
 薬剤や診療材料の分析の際には、手術場で使用した薬剤や診療材料、退院時処方の薬剤は出来高になることを念頭におくことを忘れないでください。手術の予防的抗生剤など、病棟で注射をオーダーしていても、実施する場所が手術場であることが多いでしょう。こうした場合は出来高で算定できますので、運用の見直しを検討してください。同様に退院ギリギリに処方されている薬剤が退院するまでの日数以上あったり、入院初日にパスで退院時の薬が指示されているにも関わらず、退院時処方として出来高扱いになっていなかったり、ということもあり得ます。
 また、予定入院の場合、検査や画像診断といった包括される診療行為は、直前の外来で実施できなかったのか、という点も検討ポイントです。外来で実施すれば出来高で算定できるうえ、検査や画像診断を入院後にやる必要がなくなるので、在院日数を短縮することができます。

ヒアリングの進め方


 こうした分析をしても、診療科の医師にヒアリングをして診療行為を見直してもらえないと意味がありません。たまにあるのが、事務が分析して病院幹部に報告し満足してしまった、というものです。幹部から各診療科に指示をしてもらえればいいのですが、「抗生剤の投与日数を短くしろ」といった細かな指示を幹部がするのは考えにくいことです。
 年に数回、経営幹部と診療科とのヒアリングがあるような病院では、そのヒアリング項目のひとつに分析結果を説明する場を設けてもらうのがいいでしょう。もし、そのような場がなければ、事務主催で診療科ヒアリングを実施することもできるでしょう。その際に、おすすめなのが経営幹部同席のヒアリングにすることです。事務が勝手に分析して診療内容の見直しを迫っている、と受け取られないようにします。病院の幹部も今回の診療内容の見直しで経営改善を希望しており、可能なことがあれば前向きに見直してもらいたい、というメッセージを示すことが重要です。
 さらに、1回のヒアリングだけでは改善できたかどうかの検証ができません。半年〜1年の期間をあけてフィードバックのためのヒアリングを実施することで業務改善が完了します。こうした一連の流れを実施するには、それなりの労力が必要です。院長や副院長をトップとしたプロジェクトとしてしっかりと実施するといいでしょう。

※ この記事は月刊誌「WAM」平成25年12月号に掲載された記事を一部編集したものです。
月刊誌「WAM」最新号の購読をご希望の方は次のいずれかのリンクからお申込みください。

ページトップ