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DPCデータを活用した経営改善策

全6回にわたって、病院内のさまざまな部署で、そのようにDPCデータを活用し経営につなげていくかをみていきます。


<執筆> NPO法人病院経営支援機構  藤井 将志

第5回:コメディカルによる経営改善の視点


 DPC請求では診療行為の多くは包括されますが、一部出来高になる項目があります(図表参照)。そうした項目に関しては、積極的に算定に結び付けることで収益につなげることができます。その多くが、リハビリや薬剤部、栄養課などコメディカルに関わる項目です。今回は、このようなコメディカルによる経営改善の視点をみていきます。


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リハビリ部門の収益改善


 まずはリハビリ部門についてです。心大血管疾患、脳血管疾患、運動器、呼吸器、がん、といった疾病別のリハビリはすべて出来高で評価されます。施設基準にもよりますが、1単位20分あたり77点〜245点と大きな収益が得られます。さらに、早期加算(30日以内)30点、初期加算(14日以内)45点もあわせると、とても大きな収益となります。急性期の患者に対しリハビリを早期介入することで、身体の機能を落とさず、早期に離床、身体機能の回復、早期退院につながることから、このような高い評価となっています。
 近年、リハビリに対する意識も変化してきましたが、術後数日経たないとリハビリ介入しない、したとしても1日1単位程度、という認識がかつては主流でした。現在はその逆で、早期介入、できるだけたくさんの介入、しかも、土日にも途切れないリハビリが目指されています。DPCデータを他病院と比較すると、こうしたリハビリの実施状況もみることができます。同じ疾病なのに、リハビリ介入の時期が遅かったり、単位数が少なかったりする場合は見直しの余地が残されています。
 注意したいのは、リハビリの回数はセラピストの人員数により上限が決まってしまう点です。診療報酬上でセラピスト1人当たり週108単位、ということが決められているからです。記録の時間等も考慮すると108単位に対して8?9割程度の実施率があれば、パフォーマンスが高いといえるでしょう。もし、他病院と比較し、まだまだ介入の余地があるにもかかわらず、セラピスト1人当たりの実施率が高い場合は、増員を検討する必要があります。
 リハビリ関連ではその他にも、リハビリテーション総合計画評価料(300点)、摂食機能療法(185点)といった、出来高で算定できる項目がありますので、積極的な算定が収益の向上につながります。

薬剤部の収益改善


 次に、薬剤部に関する項目をみていきます。薬剤師に関した出来高項目で収益に大きくつながるのは、薬剤管理指導料です。通常は325点ですが、救命救急入院料等を算定している患者には430点、とくに安全管理が必要な医薬品が投与されている患者には380点、麻薬の使用に関した指導は50点の加算になります。プラスの加算となる項目は、医事システムに自動でチェックされる仕組みがないと医事課での判断になるか、薬剤師からの情報発信に依存していると思うので、漏れがない仕組みが必要になります。週に1回の算定が可能ですので、それ以上入院する患者には、毎週の介入が望ましいです。業務量も1回目よりも2回目の方が、記録等が軽くなるでしょう。
 また、退院時の服薬指導には退院時薬剤情報管理指導料(90点)、薬剤情報提供料(10点)の算定も可能ですので、退院の目途がついた患者には、漏れなく介入し退院後の薬剤使用に関してアドバイスすることが求められます。
 DPCデータで他病院と比較すると、これらの介入率も比べることができます。ほぼ漏れなく介入できている病院では、指示をパスに組み込むなど仕組化しているところが多いです。
 また、2012年度からは病棟薬剤業務実施加算(100点)が設けられました。DPC病院では係数評価のため、出来高では算定できません。各病棟に1人の薬剤師配置が求められているため、体制を整えるのは大変ですが、薬剤師が病棟に配置されることで、服薬指導はもとより、看護師との連携により薬剤管理の質の向上が期待できるでしょう。

栄養課の収益改善


 続いて、栄養課に関連する項目です。管理栄養士のベッドサイドにおける指導を評価した、入院栄養食事指導料(130点)が代表的な項目です。リハビリや薬剤指導に比べると点数が低めですが、栄養状態の改善ができれば、早期回復、早期退院につながるため、収益に対する潜在的な影響は多大です。リハビリは1日1回、薬剤指導は週1回程度の介入ですが、栄養については食事を通じて1日3回(指導料の算定は入院中2回まで)も関係することができます。栄養指導が目的というより、喫食率を高め、残さず食べてもらえるために介入するのが、指導の目的といえるでしょう。患者にあった食事を、医療的にも患者の嗜好的にもできるだけ満たして提供するため、情報収集をし、食事に反映させるための活動になります。
 他職種を交えたNSTや、口腔機能、摂食機能を改善させるための取り組みも重要です。喫食率を上げるために、機能が低下している患者に漏れなく介入する仕組みの構築が求められます。また、近年では術後患者に対して、食事の経口摂取を早めに行うことが求められています。こうした各種介入のタイミングや、結果としての喫食率もDPCデータを使って他施設との比較が可能です。

チーム医療の評価


 コメディカルがチーム医療で関わる活動は、診療報酬で評価が高まっています。周術期口腔機能管理料(300点)、呼吸ケアチーム加算(150点)、精神科リエゾンチーム加算(200点)などです。例えば、周術期口腔機能管理料は周術期や抗がん剤治療の患者に対して、歯科医師と共に歯科衛生士が口腔機能管理に介入することで算定ができるものです。栄養サポートチーム加算(200点)、摂食機能障療法(185点)と絡めて、嚥下機能をトータルケアする仕組みを設けている医療機関もあります。病棟看護師、管理栄養士、言語聴覚士とチームを組んで回診し、院内の嚥下障害のある方をスクリーニングし継続的な病棟ケアにつなげていきます。
 収益面で点数がアップすることもさることながら、こうした取り組みの最大の効果は早期退院につなげられることです。口腔機能改善?嚥下機能改善?栄養状態の改善?運動機能の改善、と正のスパイラルにつながります。関わる人数の割には点数が低い、という指摘もありますが、在院日数短縮による見えない収益効果は多大です。
 DPCデータをもとに疾病別に施設間の介入状況を比較したり、医師や診療科ごとに、こうしたチーム医療関連の介入状況を比較することもできます。やはりデータ上で介入頻度が高いところは、パスに盛り込まれていたり定期カンファレンスを実施していたりと、仕組化されているところがほとんどです。医療の質と収益の両面の向上を実現させてください。

※ この記事は月刊誌「WAM」平成26年2月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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