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医療・介護の提供能力の余力評価を

ふまえた法人経営


 全6回に渡って、各地域の医療・介護の提供能力の余力評価をふまえた法人経営についてお届けします。


<執筆>
国際医療福祉大学大学院教授 高橋 泰 氏


第1回:地域を大都市・地方都市・過疎地域に区分する

 これから6回にわたり「医療・介護の提供能力の余力評価をふまえた法人経営」という連載を担当する。連載の第1回目(今回)では日本の地域を大都市、地方都市、過疎地域に分ける方法を説明し、第2回目では大都市、第3回目は地方都市、第4回目は過疎地域の医療・介護の余力について説明する。5回目では今回の連載で使用した医療の余力を測定した指標(一人当たり急性期医療密度)の測定方法、第6回では介護余力指数の測定方法とこれらの指標の経営への活用方法について述べていく予定である。

大都市、地方都市、過疎地域に分ける

 日本の地域を大都市、地方都市、過疎地域に分ける方法を説明する。図1に示すフローチャートに従い、二次医療圏を、(人口が100万人以上)または(人口密度が2,000人/km²)の条件を満たす二次医療圏を大都市型二次医療圏に、(人口が20万人以上)または(人口10〜20万人 かつ 人口密度200人/km²以上)の条件を満たす二次医療圏を地方都市型二次医療圏に、その他を過疎地域型二次医療圏に分けると、二次医療圏を3つのグループに分けることができる。



 このルールに従うと、図2の地図に示すように、現在344個ある二次医療圏を、52個の大都市型、172個の地方都市型、120個の過疎地域型の二次医療圏に分けることができる。



 表1に示すように、大都市型は、我が国の5%の面積を占めるが、そこに全人口の44%が住み、平均の人口密度が約3,011人/km²である。地方都市型は、我が国の面積の51%を占め、人口の47%が住んでおり、平均人口密度が約318人である。過疎地域型は、我が国の面積の44%を占めるが、人口のわずか9%しか住まず、人口密度が約70人/km²である。



3 つのグループに分ける理由

 図3の上のグラフは、横軸が2010年から40年にかけての0〜64歳の人口減少率、縦軸が2010年から40年にかけての75歳以上人口の増減率を、各プロットは、二次医療圏の状況を表す。
 図3の下の3つのグラフは、図1のフローチャートに従い人口規模と人口密度をもとに分けた「過疎地域」、「地方都市」、「大都市」別に、同様のグラフを描いたものである。



 フローチャートは、人口規模と人口密度をもとに各医療圏を「過疎地域」、「地方都市」、「大都市」のグループに分けたものであり、人口動態(人口の推移)とは本来別物である。しかし人口密度をもとに分けた各グループには、はっきりとした人口動態の特徴が読み取れる。大都市型の二次医療圏は、0〜64歳の人口減少が少ないかわりに、75歳以上の人口は大幅に増える。逆に、過疎地域型の二次医療圏では、75歳以上の人口はほとんど増えないが、0〜64歳の人口が大幅に減少する。すなわち、日本の人口動態は、地域により大きく異なるが、大都市、地方都市、過疎地域と分けることにより、今後の人口動態の動向をある程度把握できるようになる。

二次医療圏を「大都市」「地方都市」「過疎地域」に分けて分析する理由

 二次医療圏を「大都市」、「地方都市」、「過疎地域」に分けて分析する2つの理由がある。第1の理由は、図1のフローチャートにより示される定義からわかるように、「人口密度」の差で、地域を分けるためである。人口密度が異なれば、街や地域の様子が異なってくる。また、医療機関や施設と利用者の居住地までの距離が異なり、マーケティング戦略も大きく異なる。医療や福祉の地域ごとの将来的な余力を評価するときに、ある程度、施設周辺の環境や利用者の空間的広がりの異なる地域を分けて評価したほうが、より実態に近い評価ができるからである。別の言い方をすれば、同じ値でも、大都市と過疎地域ではその数値の解釈が異なる場合があり、「大都市」、「地方都市」、「過疎地域」に分けて分析することにより、解釈のミスリードを減らせる可能性があるからである。
 第2の理由は、図3に示すように、大都市と過疎地域では人口動態が大きく異なるため、3つの地域に分けたほうが、医療・介護の余力を表す各地域の指標を人口動態を含めて解釈しやすいからである。
 第2回は、今回「大都市」に区分された地域の医療・介護の余力の評価を示し、大都市の医療・介護の将来を予測する予定である。

※ この記事は月刊誌「WAM」平成27年10月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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