ニュース
トップ

【兵庫県】

「発達障害」理解深めて 日々を漫画エッセーに 双子姉妹の母・森山さん

熊本日日新聞 2018年8月17日(金)
発達障害の双子の姉妹の日常を描いた「発達障害の暮らし日記」。予定変更を嫌う特性や、周囲のサポートで苦手なことを克服する様子が温かく描かれる(神戸新聞社提供)
発達障害の双子の姉妹の日常を描いた「発達障害の暮らし日記」。予定変更を嫌う特性や、周囲のサポートで苦手なことを克服する様子が温かく描かれる(神戸新聞社提供)

 発達障害のある双子の姉妹を育てる県出身の森山和泉さん(48)=兵庫県在住=は、神戸新聞などで双子の日常を描いた漫画とエッセーを連載中。このほど連載をまとめた「発達障害の暮らし日記〜森山家の泣いたり笑ったり」を出版した。帰熊した森山さんに、漫画に込めた思いなどを聞いた。(清島理紗)

 作品に描かれる双子は10カ月の時、かかりつけ医などから「少し発達に気になる点がある」と指摘され、療育を開始。小学4年で広汎性発達障害と診断された。

 漫画を描き始めたのは、双子に自身の気持ちを伝えたいと思ったのがきっかけだ。双子が小学校低学年のころ、やってはいけないということを何度言い聞かせても繰り返した。森山さんは「お母さん、悲しいよ」と涙を流す絵を描いて見せた。

 「描いたのは手足が線の“棒人間”」だったが、双子は初めて母親の気持ちに気付いて謝った。療育の関係者から教えられた手法。聞くより見た方が分かりやすい特性「視覚優位」に合わせたコミュニケーションの取り方だ。「伝え方を間違っていた。この子たちへの伝え方があるんだと実感した」という。

 その後、生活上の注意なども4コマ漫画で表し始めた。他人に対して言って良いことと悪いことの区別がつかないとき、予定変更を嫌がったとき…。周囲の人はどう感じるのか、社会のルールはどうか描き続けた。

 学校の先生に双子の日常を伝えるのも、漫画が効果的だった。同じ立場の母親にも共感された。

 そうした森山さんの取り組みが、夫の転勤のため当時住んでいた沖縄で地元新聞社の目に留まり、2011年11月から琉球新報で連載を開始。14年3月からは神戸新聞でも描き始めた。

 連載では、森山さんと双子が特性ゆえに悩み、それを乗り越えて気持ちを通わせる様子が温かく描かれている。

 学校の授業で体操がうまくできなかったときや食べ物の好き嫌いも、先生や専門家のサポートで克服できたことも。「第三者の目が入ると、子育てはうまくいくんだなと感じた」

 「発達障害」という言葉は認知されたが、「正しい理解が進んだか疑問に思う」と森山さん。「不可解な事件が起きた時、容疑者が発達障害だと報道されたりする。ネットの中でもたたかれる存在。ゆがんだ認知のされ方が広がっているのでは」と恐れている。

 一方、作品を読んだ当事者たちからは「苦しんでいるのは私だけじゃないと分かった」と言われたことが最もうれしかったという。「当事者は意図していないのに、怒られたり笑われたりすることに傷ついている。『当事者の本当の気持ちはこうなんだ』と知らせたいし、発達障害ではない人にも理解してもらえるとうれしい」

 双子は大学生になった。漫画の中では小学生のままだが、描かれる出来事は現在のものだという。森山さんは「新しいことが次々にあり、ネタは尽きない。できる限り続けたい」と話している。

 「発達障害の暮らし日記」はA5判、128ページ。1512円。神戸新聞総合出版センターTEL078(362)7138。