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【鳥取県】

南部町の子育て支援 まちぐるみで仕組み構築

山陰中央新報 2016年1月19日(火)
ねんねの赤ちゃんの日に集まった親子連れ
ねんねの赤ちゃんの日に集まった親子連れ

 鳥取県南部町が妊娠期から切れ目のない子育て支援の態勢整備を強化している。県内で先駆けとなる「町子育て包括支援センター・ネウボラ」を開設。核家族化が進んだことによる子育て世帯の孤立化を防ぎ、住民が一体となって町全体で子育てする仕組みをつくる。

 

 昨年12月半ばの月曜日、町立すみれこども園(南部町法勝寺)内の子育て交流室あいあいに、笑い声が響いた。6人の赤ちゃんを母親たちが見守る。生後8カ月の長男晴貴ちゃんと来所した井上奈緒さん(21)は「ずっと家にいるとしんどいこともある。他のお子さんを見ると癒やされるし、子育てで不安なことも相談できるのでほぼ毎週来ています」と笑った。

 

 井上さんが訪れたのは「ねんねの赤ちゃんの日」。毎週月曜日にあり、立って歩き回る子どもたちと一緒に遊ぶことが難しい赤ちゃんを対象にしている。保育士や保健師、助産師が常駐し、授乳時や成長の悩みなどが相談でき、毎回10組前後の親子が参加している。

 

 町がきめ細やかな子育て支援を掲げる背景には、もちろん人口減少と少子化がある。2004年の合併時に1万2179人だった町の人口は、14年には1万1374人に。年間出生数も86人から60人にまで減った。

 

 町は、妊娠中からの仲間づくりや子育て施策を知ってもらうことを主眼にした施策を考案。14年度に始めた町主催のイベントに参加するとポイントがたまり、おもちゃや絵本などと交換できる取り組みや、ねんねの赤ちゃんの日の開催もその一例で、県内でも珍しい取り組みという。

 

 町と子育て世帯とのつながりをより強固にするために15年4月に開設したのが、「子育て包括支援センター・ネウボラ」だ。妊娠期から就学前にかけて継続的に子どもや家族を支援する北欧・フィンランドの子育て支援施設の仕組みをヒントにした。

 

 ネウボラには、保健師、助産師、栄養士、保育士、子育て支援員が所属しており、産後すぐの手続きや母乳育児、離乳食の相談などができる。加えてイベントや子育てサークルの紹介もしてもらえるワンストップ機関となっている。

 

 子育てしやすい町をPRするため、今月末に坂本昭文町長と町内の経営者が、部下の育児参加を支援する「イクボス宣言」の宣言書に署名する。併せて子育てを応援する活動に取り組む町内の企業や団体を「子育て応援企業」として認定する。

 

 充実した子育て支援態勢を構築するとともに、子育てをしながらでも働きやすい町であることをアピールしていく計画だ。

 

 子育て支援の次の一手として、町が考えるのは、「ライフデザイン」の設計という。セミナーなどを開き、次世代を担う若者に家族をつくり生活することをイメージしてもらい、定住やUターンの促進につなげる狙いだ。

 

 子育て支援施策をけん引する健康福祉課の山口俊司課長は「子育て支援をキーワードにすると、移住定住からまちづくりまでつながる。地域づくりそのものになる」と強調する。

 

 南部町の子育てを核にしたまちづくりは、まだ始まったばかりだ。