ニュース
トップ

【熊本県】

災害時「心の応急手当て」を セーブ・ザ・チルドレンが普及活動

熊本日日新聞 2016年7月15日(金)
災害時の子どもの反応について話し合う保育士たち=熊本市北区
災害時の子どもの反応について話し合う保育士たち=熊本市北区

 熊本地震で被災した熊本県益城町などで、子どもたちを支援している国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が、災害時などに心の応急手当てをする「心理的応急処置(PFA)」の普及活動に取り組んでいる。処置のポイントは「見る」「聴く」「つなぐ」の三つ。だれでもできる内容で、虐待を受けた子どもの対応にも有効という。

 6月下旬、熊本市保育園連盟が同市内で開いた研修会。同NGOの赤坂美幸さん(40)は「危機的なことに直面したとき、子どもは大人と違う反応をします。子どもと接する大人にPFAを知ってほしい」と呼び掛けた。

 PFAは「サイコロジカル・ファースト・エイド」の略。2011年にWHO(世界保健機関)などが作成した心理的応急処置のマニュアルを参考に、同NGOが子どもに特化したプログラムを完成させ、14年から国内で研修を始めている。

 研修会では、参加した保育士らが「多数が負傷している火事現場での反応」を子どもの年齢ごとに考えた。会場からは、0〜3歳は「泣く」「大人にしがみつく」、4〜6歳は「見たことを言葉にしようとする」、7〜12歳は「不安がって友達と離れない」−などの声が上がった。

 指導した国立病院機構災害医療センターの河嶌讓医師(38)=精神科=は「反応が強く出る子もいれば、逆に無反応になる子もいる。無反応の子は気付かれにくいため、注意が必要」と分析。子どもが「地震ごっこ」をして遊んでいる場合は、「大人も一緒に避難して、『うまく逃げられてよかったね』といい結果で終わらせて」とアドバイスした。

 PFAの最初のステップは「見る」。専門家のサポートが必要な子を見つけることだ。深刻なストレスを抱えている子がいないかを確認する。

 次の「聴く」では、「寄り添う姿勢が大切です」と赤坂さん。河嶌医師が、傾聴のポイントとして挙げた5項目は(1)相手の話に集中する(2)相づちを打つ(3)共感する(4)ニーズを明確にするための質問をする(5)困っていることを要約する−。「無理に話をさせようとしないことが大切。人形を使って話しかけると、子どもが話しやすくなります」と河嶌医師。

 最後が「つなぐ」。つなぐのは「人、物、情報」だ。日常生活に支障をきたしている場合には、医師や保健師などの専門家につなげる。このほか、必要な物資を得られるようにサポートしたり、必要な情報を提供したりすることなどが大切だという。

 参加した熊本市東区の「なぎさこども園」の元田紗希子さん(38)は「子どものケアが必要だと思っていたが、具体的な対処法が分かってよかった」と話した。

 同NGOは、熊本地震の被災地で支援活動をする人たちへ向けたホームページ「子どものためのPFA」(http://www.savechildren.or.jp/lp/kumamotopfa)を開設。各種団体や保育園などでも研修会を続けている。(森本修代)