ニュース
トップ

【熊本県】

できる範囲で地域支えよう「子ども食堂」でシンポ 熊本市

熊本日日新聞 2017年5月19日(金)
子ども食堂のイメージの絵を示しながら話す湯浅誠・法政大教授=熊本市
子ども食堂のイメージの絵を示しながら話す湯浅誠・法政大教授=熊本市

 子どもや高齢者の孤食を防ごうと、無料または低額で食事を提供する「子ども食堂」をテーマにしたシンポジウムが14日、熊本市中央区の熊本学園大であり、課題や今後のあり方を話し合った。子ども食堂を運営する県内の団体などでつくる「子どもから地域に拡[ひろ]がれネットワーク」主催で、子ども食堂の活動を広げる全国ツアーの一環。約360人が参加した。

 子ども食堂が広がる背景には、子どもの貧困率が16・3%(2012年)に上ったことなどがある。

 湯浅誠・法政大教授は講演で「単に貧困対策とされるのは誤解を生む。実際は貧困家庭に限らず、高齢者も多く集まり、地域づくりとして開かれている。子どもを中心に置き、地域のいろんな人が支えていく仕組みだ」と説明。「一人一人が『これならできる』という範囲で出し合うことが大切」

 県内での支援活動の報告では、同市東区若葉校区で「コミュニ亭」と題した食堂を開く「逢桜[あいら]の里」の西原明優さん(37)=カトレア保育園副園長=が「着飾って来る高齢者もおり、生きがいづくりになっているのでは」と話した。子どもと高齢者の世代間交流の場にもなっているという。

 同市帯山校区で「はぐくみ食堂」を運営する野村順子さん(46)は熊本地震後、子ども食堂を拠点に支援物資を中継したり、ボランティアを調整したりした。「地震では横のつながりの重要性を実感した。子ども食堂は、地域の人が地域を守ることにつながる」と強調した。

 分科会では課題についても話し合った。食材は企業や農家から提供されるケースが多いが、資金が大きな課題の一つだ。「スタッフの交通費くらいは出したいが…」と、同市東区の託麻東コミュニティセンターで「たくとうこども食堂」を開く山川李好子[りよこ]さん(69)。場所も課題で、コミセンは無料で借りているが、「空き家などに常設できれば、地域の交流の場にできる」。

 南区で「おうち食堂竹ちゃんち」を開く竹下紀子さん(55)は食材費を手出ししているという。「来た人が笑顔になってくれるので続けられる」。同区で「こどもキッチンブルービー」を開く松枝清美さん(44)は「学校や自治会など地域との連携が今後の課題」と報告した。
 会場からは「子どもが来る途中の交通手段が心配」「食中毒が起きないよう安全面も課題」との声もあった。

 湯浅教授は全国の子ども食堂の共通する課題として「人手」「資金」「場所」「連携」に加えて「ホケン」を挙げた。保健と保険の両方の意味がある。保健は衛生面での対策。保険は、子ども食堂での事故を対象にした保険も登場しているという。「安心、安全な場となり、地域に必要とされればいろんな人が応援してくれ、続けられる」と指摘。「子ども食堂と介護予防や障害者の就労支援などを組み合わせれば、面白い取り組みになるのではないか」と述べた。(森本修代)