ニュース
トップ

【埼玉県】

階段避難車の設置拡大へ 狭山のサンワなどが協議会

埼玉新聞 2017年11月1日(水)
災害時に階段から安全に避難できる階段避難車「キャリダン」
災害時に階段から安全に避難できる階段避難車「キャリダン」

 避難器具は「縄ばしご」より「階段避難車」を―。階段昇降機の製造・販売を手掛けるサンワ(狭山市)など6社は、足が不自由な障害者や高齢者らが災害時に階段から安全に避難できる階段避難車の設置拡大に向けて、9月に協議会を立ち上げた。

 階段避難車の認知度を広げ、公共施設や老人福祉施設に設置を義務付ける法律の整備を行政に働き掛けていく。

■防災の日に6社で発足

 「防災の日」の9月1日に合わせ、「階段避難車安全推進協議会」を立ち上げた。会員は階段避難車のメーカーや輸入販売代理店など、県内や東京都内の6社(1社は賛助会員)。

 法整備に向けた行政への働き掛けをはじめ、普及・啓発のための広報活動や展示会の開催などに取り組む。

 同協議会によると、現在の消防法では、避難器具は階段を使用しないで避難できる物とされている。設置が法律で義務付けられているため、老人福祉施設に「縄ばしご」(避難はしご)などが設備されているのが現状という。

 発起人で代表幹事を務めるサンワの美澤暁彦社長(53)は「地震大国といわれる日本において、老人ホームに『縄ばしご』はないでしょう。2020年の東京五輪開催までをめどに、階段避難車の設置が広がるよう、行政に法整備を促していきたい」と意欲を見せる。

■海外ではテロ対応も

 階段避難車は、地震や火災などの災害時にエレベーターが使えない状況下で使用する。

 世界でも有数のメーカーであるサンワは、「キャリダン」を製造・販売。歩行が困難な障害者や高齢者らを椅子に乗せてベルトで固定し、後ろからブレーキ解除レバーを握って前に押すと、安全に階段から降ろすことができる。

 特殊設計の車輪とゴムクローラ(ゴムキャタピラ)が付いており、どんな素材の階段にも対応。下降速度は一定で、レバーを離せばブレーキがかかる仕組みになっている。普段は折りたたんで、キャビネットなどに収納できる(価格は税別19万8千円)。

 キャリダンは1983年に販売を開始。累計で約2万3千台を出荷している。96%は輸出で、7割以上が北米。テロや災害を踏まえ、米国防総省や米連邦捜査局(FBI)、マイクロソフト、コカコーラなど、多くの機関や企業が導入している。

■災害弱者に安心を

 日本では、国会議事堂や東京大学、ホンダなどが階段避難車を導入。ただ、海外に比べると、まだ普及が進んでいない。

 英国では障害者が健常者と同じように迅速に避難できるよう、ビルオーナーや管理責任者に歩行困難者を避難させるための避難器具の設置を義務付けている。日本で階段避難車の設置拡大を図るには、法整備やPRが必要として協議会を立ち上げた。

 美澤暁彦社長は「以前、キャリダンがテレビ番組で取り上げられた時、マンションの20階に住むという障害者の方から会社に電話があった。『世の中にこんな良いものがあったんですね。もし災害があったら私はあきらめてました』と言っていただいた。階段歩行が困難な災害弱者の方々が、安心して過ごせる世の中にしたい」と思いを語る。

 問い合わせは同社(電話04・2954・6611)へ。