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【熊本県】

広がる介護ロボット 中腰作業の支援や睡眠の状態を把握

熊本日日新聞 2017年12月27日(水)
「HAL腰タイプ介護支援用」を付けて介助する職員=熊本市東区
「HAL腰タイプ介護支援用」を付けて介助する職員=熊本市東区

 人材不足が続く介護現場で、職員の負担軽減につながると期待される「介護ロボット」。国や県が後押しし、県内でも導入が広がっている。どんなタイプのロボットが活躍しているのか。介護現場を取材した。(清島理紗)

 「ベッドに移りましょう。支えているから大丈夫ですよ」

 熊本市東区の特定施設入居者生活介護「サンセリテ月出」。腰に介護ロボット装具を付けた職員が利用者の女性に声を掛けた。女性の体重を支え、車いすからベッドに移らせる。中腰のままの作業だが、ロボット装具の支えでつらさを感じないという。

 使っていたのは「HAL[ハル]腰タイプ 介護支援用」(サイバーダイン)。腰に密着した電極から装着者の動きを読み取り、腰に負担がかからないように支える。移乗や入浴などの介助に活躍する。

 管理者の土田博美さん(64)は「介護作業は激務。ほぼ全てのスタッフが腰痛を感じており、悪化すれば離職の心配もある。スタッフの負担を軽くし、より良いケアにつながればと考えた」。昨春から「HAL」を活用している。

 看護師の亀井栄一さん(43)は「同じ姿勢をとり続けてもしっかり支えられるため、疲労が減った。長年腰痛に悩まされていたが、今は安心感がある」

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 同市北区の介護老人保健施設「清雅苑」は、利用者の睡眠の状態を把握する「眠りスキャン」(パラマウントベッド)を、昨年12月に導入した。

 マットレスの下に設置したセンサーが、利用者の呼吸や心拍数、体の動きを測定。職員ルームで常時把握することができる。

 眠りの深さやベッドを離れた状況などが、時間の経過とともに視覚的に分かる仕組み。昼夜逆転に悩む高齢者らの生活リズムをつかみ、職員が改善に向けた運動プログラムを検討できる。在宅に戻る利用者のリズムを、家族に分かりやすく伝えるのにも役立つ。

 「センサーは無音で薄いため、利用者に負担をかけないのも利点」と理学療法士の當利賢一さん(41)。利用者が起きていることを確認した上で、夜間のおむつ交換や巡視ができ、業務効率が良くなったという。

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 県高齢者支援課によると、本年度までに国や県の補助で、県内の計241事業所が介護ロボットを導入した。

 用途別にみると、最も多いのは「眠りスキャン」のような利用者の見守りを行うタイプで、計164事業所が導入。次いで「HAL」などの移乗支援が多い。

 ただ、施設職員からは「本体が大きく、介助の邪魔になる場合もある」「価格が高く、導入数が限られる」などの声も上がる。導入したものの、あまり活用されていないロボットもあるという。

 県作業療法士会の内田正剛会長(48)は「介護スタッフの心身の状態や、ロボットがどんな場面で必要かを具体的に確認した上で導入することが重要。メーカーも現場をよく理解して開発につなげてほしい」とアドバイスする。