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【愛媛県】

避難生活、口腔ケアが重要 高齢者の誤嚥性肺炎リスク増加

愛媛新聞 2018年8月8日(水)
避難生活での口腔ケアのポイント
避難生活での口腔ケアのポイント

【唾液分泌へマッサージを】
 西日本豪雨により、愛媛県内でもまだ多くの人が避難生活を余儀なくされている。慣れない暮らしの中で、口腔(こうくう)内のケアがおろそかになると、免疫力が低下している高齢者は誤嚥(ごえん)性肺炎などを起こしやすくなる。東日本大震災で在宅医療ボランティアに当たった経験などがある歯科医升田勝喜さん(63)=松前町昌農内=に、非常時のケアについて聞いた。

 誤嚥性肺炎は、口の中の細菌や食べ物が誤って気管に入ることで起きる。升田さんは阪神大震災以降、震災関連死の原因は肺炎が上位を占め、多くが誤嚥性肺炎だったと指摘。「脱水や低栄養といった環境下のお年寄りは唾液(だえき)の分泌量が減り、肺炎になるリスクが高まる。口腔内の乾燥を防ぎ、細菌を増やさないことが大切」と説明する。

 乾燥防止に効果があるのが、唾液を出しやすくするマッサージだ。唾液には口の中の汚れを洗い流し、細菌の繁殖を抑えるといった働きがある。指を口の中に入れ、指の腹で頬の骨の辺りをリズムよく押さえていくと、唾液腺の周辺が刺激され、唾液が出てくる。両手で頬を覆い、親指で顎の下を優しく押さえる方法もある。歯磨きの前にマッサージを取り入れると、少量の水でも汚れが落ちやすくなる。

 お年寄りにとって必需品でもある入れ歯の手入れも欠かせない。「避難所などでは周囲の目もあって、掃除できない人もいるだろうが、放置しておくと細菌の温床になる」と升田さん。断水などで水が自由に使えなければ、できれば毎食後に入れ歯を外し、ウエットティッシュや布、ガーゼなどで表面の汚れをこそぎ取るのがポイントだ。

 避難生活では食生活の偏りも心配されるが、食事の際には、よくかんで食べたい。食べ物をよくかむことで、口腔内を清潔に保つ唾液をたくさん出すことが重要だ。歯磨きは食後、時間に限らず行うのが理想だが、できない場合は1日1回、就寝前に徹底して磨くといいという。

 升田さんは「誤嚥性肺炎は夜、気付かないうちに発症する。暑さと慣れない避難生活でストレスがたまり、免疫力が低下している被災者は少なくないだろうが、口の中が清潔でなければ、全身の病気の悪化にもつながる。命を守るケアとして口腔ケアを行ってほしい」と呼び掛ける。