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【愛媛県】

読書の喜び障害児にも 松山で「研究会」 ニーズや実態多様、特性知りサポートを

愛媛新聞 2018年9月3日(月)
障害児らへの読書支援について理解を深めた「読書バリアフリー研究会」=23日、松山市堀之内
障害児らへの読書支援について理解を深めた「読書バリアフリー研究会」=23日、松山市堀之内

【定着へ人材育成も必要】
 障害があるために、本を読みたくても読めない子どもたちは少なくない。こうした子どもらの読書をサポートする人材の養成を目指す「読書バリアフリー研究会」がこのほど、松山市堀之内の県立図書館であった。県内の教職員や図書館職員ら約60人が読書の障壁となる原因や支援方法への理解を深めた。

 同研究会は、児童書の電子化などに取り組む伊藤忠記念財団(東京都)が主催。2010年度から全国各地で開いており、県内では初めて実施した。
 専修大の成松一郎講師は、障害児らも読みやすい資料や読書環境の整備を解説した。分かりやすい本を必要としている人には知的障害者やろう者、外国出身者がいるとし、写真や絵、短い言葉で構成するLLブックの普及などで「多様性を理解するための資料は増えている」と説明。福祉先進国・スウェーデンの図書館では、録音図書や手話による資料、触れて読む本などを集めた専用の棚を設置していると紹介した。
 16年4月施行の「障害者差別解消法」を取り上げ、社会的障壁を取り除く合理的配慮の提供について「まずは、見えにくさや読みにくさといった障害を知ることから始まる。いろんな事情があって言葉で伝えにくい人にも声を上げてもらう姿勢が必要になる」と語った。
 鳥取県立白兎養護学校の児島陽子教諭は、前任地の鳥取大附属特別支援学校で携わった知的障害児が親しむ図書館の取り組みを報告した。13年にリニューアルした同校図書館は、資料の分類や表示を工夫するなどして障害特性・発達段階に応じた読書環境を整備。音声に文章を組み合わせたマルチメディアデイジー図書といった資料も充実させ、図書館を活用した授業や学習を進めている。
 知的障害があると文字が読めず、本の内容も理解が難しいと思われがちだが、絵や写真を見たり、読み手とのコミュニケーションを図ったりして読書を楽しむなどニーズや実態は多様だという。図書館を読書・学習・情報センターとして根付かせるには「資料と子どもの両方を知り、両者をつなぐ学校司書や司書教諭といった人材が求められる」と訴えた。
 文部科学省の12年調査では、通常学級に通う小中学生の2・4%が全般的な知的発達に遅れはないものの、読み書きに著しい困難があると推計される。金沢星稜大の河野俊寛教授は学習障害の一つである読み書き障害(ディスレクシア)の特徴を「字が読めないわけでも書けないわけでもないが、すらすらと正確に読み書きができない」と強調した。
 読むことへの支援に、行間の拡大や分かち書きといったレイアウトの変更をはじめ、穴が開いたシートを読みたい部分に当てて読みやすくするスリットの利用、代読などを挙げた。一人一人に合ったサポートが必要だとした上で「支援の目標は読み書きがほかの子どもと同じレベルになることではない。知識を増やし、自分の考えを第三者に伝えられるようになることを目指してほしい」と話した。
 会場にはマルチメディアデイジー図書や点字が付いた絵本などが並び、参加者は熱心に見て回っていた。