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【青森県】

睡眠の重要性に注目 運転手さんに「無呼吸」検査広がる

東奥日報 2018年9月4日(火)
あおもり睡眠クリニックの宿泊室で、睡眠時無呼吸症候群の検査について説明する秋田院長
あおもり睡眠クリニックの宿泊室で、睡眠時無呼吸症候群の検査について説明する秋田院長

 睡眠の重要性が青森県内で改めて注目されている。睡眠不足は、生活習慣病発症・重症化のリスクを高めるだけでなく、仕事の効率や安全性確保にも影響するからだ。県内のバス、タクシー事業者は、日中に倦怠(けんたい)感や眠気をもたらす「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の検査を従業員に受けさせるなどして、健康管理に努めている。県内の医療関係者は、良い眠りを確保するため、適度な運動を行い、規則正しい生活を送るよう呼び掛けている。

 2014年10月に開院した青森市の「あおもり睡眠クリニック」には市内外から、睡眠の悩みを抱える患者が通う。「眠りへの関心が高まっているのは確か」と秋田三和興(みわおき)院長。最近は、SASの精密検査を受けに来る働き盛りの人が少なくないという。

 同クリニックでは、SASが疑われる受診者に、クリニックに宿泊してもらい、脳波や心電図、血中の酸素量などを調べる「睡眠ポリグラフィー検査」を実施。治療が必要な人には、鼻に着けたマスクから体内に空気を送り込む治療法「CPAP」(シーパップ)を行っている。開院以来、約500人がCPAP治療を受け、中には生活の質が大きく改善した人もいるという。

 県内のタクシー、バス会社などもSAS対策に力を入れている。運転手の健康診査で簡易検査を行い、状況によっては治療を促している。弘南バス(弘前市)の担当者は「今後、検査実施の頻度を多くしたい」と話した。

 国も今年6月、タクシー、バスの事業者に対して、乗務員の点呼時に、十分な睡眠が取れているかどうか確認するように通達を出し、安全確保策を強化している。

 大手企業も睡眠に着目している。日用品大手のライオン(本社・東京都)は16年、弘前大に寄付講座「オーラルヘルスケア学講座」を設置した。弘前市岩木地区の住民を対象にした調査などを基に、口の中や睡眠の状況が全身の健康にどう影響するかについて研究している。

 青森市の心療内科・精神科クリニックには、職場の人間関係などのストレスが原因で精神的に不調になり、不眠になった多くの人が通っている。院長は、厚生労働省が発表している「睡眠障害対処の12の指針」を紹介しながら「患者には、まず悪循環を招く飲酒をやめてもらい、軽い夕方の運動や就床前の入浴などを勧めている」と話す。

 講演や執筆活動で睡眠の重要性を訴えている県立中央病院(青森市)の小野正人・医療管理監は「寝不足になると、空腹のホルモンが出され、食べ過ぎてしまう。不眠は肥満や生活習慣病を招く」と説明し「短命県返上のためにも、青森県でもっと睡眠に関する知識を持ってもらう必要がある。シフト制がある職場では、夜勤の後にしっかりと休息を取れるように環境を整えることが大切」と語る。

 <睡眠時無呼吸症候群(SAS)> 就寝中に呼吸が止まる状態を繰り返して熟睡できず、日中に強い眠気のため生活や業務に支障を来す睡眠障害。2003年2月に居眠り運転した山陽新幹線の運転士がSASと診断されて注目されるようになった。寝る際にマウスピースをつけたり、鼻につけたマスクから空気を送り込んだりする治療法がある。