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【広島県】

廿日市・吉和の高齢者向け宿泊施設1年 住民有志が運営、週2回利用の常連も

中国新聞 2018年9月10日(月)
塗り絵を楽しむ利用者を見守る益本理事長(右端)やスタッフ(右から2人目)
塗り絵を楽しむ利用者を見守る益本理事長(右端)やスタッフ(右から2人目)

 1人暮らしが心細いとき、誰かの気配を感じていたいとき―。廿日市市吉和地域の高齢者が気軽に泊まれる宿泊施設「ほっと吉和」が、オープンから1年が過ぎた。利用者からは「施設があるおかげで、この地域に住み続けられる」と喜ぶ声が寄せられている。

 8月下旬、ほっと吉和に80代の女性2人が宿泊していた。スタッフが見守る中、塗り絵を楽しんだりテレビを見たりして過ごした。その一人、山下妙子さん(85)は普段1人暮らし。週2回宿泊しているという。

 1人きりは寂しいし、不安。夜に具合が悪くなったらどうしようと思う。ただこれまでは「1人暮らし」か、「都市部の介護施設に入所する」しか選択肢がなかった。

 「ここができたおかげで、生まれ育った吉和から離れずにすむ」と山下さん。見守りのまなざし、ちょっとした支えがあれば1人暮らしを続けていける。

 ほっと吉和は、市吉和支所や吉和診療所の近くにある。市が吉和福祉センターを増築して整備。運営は、地元の看護師や介護士たちでつくるNPO法人が担う。見守りスタッフは17人で、宿泊の希望が入れば2人ずつ泊まる。1泊2食付き2700円で、定員5人。基本は自立した地域の高齢者が対象となる。

 吉和地域の高齢化率は5割に迫る。以前からいざというときのために、泊まりができる介護施設を求める住民の声は強かった。だが民間事業者が進出する予定はないことから、住民有志がNPO法人を設立して昨年8月に運営を始めた。

 7月末までの利用者は延べ255人。常連に加え、台風接近や同居する家族の旅行に伴う利用もあった。NPO法人の益本住夫理事長(70)は「困ったときには泊まる場所があるとの安心感が、この1年で地域に広がった。高齢者が憩える場にしていきたい」と話す。(森戸新士、山瀬隆弘)