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【新潟県】

患者情報を共有 救急対応で成果 新潟長岡「フェニックスネット」

新潟日報 2018年11月8日(木)
フェニックスネットに書き込まれた患者の情報をチェックする長尾政之助医師=長岡市福住3
フェニックスネットに書き込まれた患者の情報をチェックする長尾政之助医師=長岡市福住3

 安心して医療や介護を受けられるようにしようと、処方薬やかかりつけの病院の情報を新潟県長岡市内の関係機関が共有するシステム「フェニックスネット」が10月で運用開始3年を迎えた。市消防本部が加わり、救急対応で成果を上げている。当初は在宅で医療や介護を受ける高齢者が主な対象だったが、7月からは全市民に対象を拡大した。「救急搬送の際や災害時の備えにもなる」と関係者は期待を寄せる。

 フェニックスネットは、ICT(情報通信技術)を活用し、同意が得られた患者と関係機関を結ぶネットワーク。市、市医師会、市訪問看護ステーション協議会などが協議会を設立し、県などの補助金を受けて2015年10月に運用を始めた。

 日常的に関わるヘルパーや医師らが、患者の体調などの情報を書き込んだり閲覧したりできる。18年10月末現在の参加機関は診療所36施設、介護68施設など計177施設に増え、登録者数は約4千人になった。

 16年11月に市消防本部が協議会に参加し、救急車全15台にタブレット端末を配備した。消防がシステムに参加する例は全国でも珍しいという。

 市消防本部救急管理室によると、救急隊が緊急時に本人や家族から情報を得ることができず、フェニックスネットで検索したのは2年間で83件。そのうち患者が登録されていた43件は、現場到着から出発までの時間が平均の約18分に比べ4分ほど早まった。

 17年夏には、1人暮らしの70代男性が自宅で頭痛と吐き気を訴えた。救急隊が端末で氏名を検索すると男性が登録されており、かかりつけの病院に素早く搬送できたという。

 佐藤正春室長(56)は「本人が苦しいときに無理に聞き出すのは難しい。緊急時の連絡先も分かるので助かる」と話す。

 市消防本部の参加で運用の効果が上がったことに加え、災害時に処方薬を持たずに避難した場合なども情報が有益になるとみて、協議会は7月に対象を全市民に広げ、登録を受け付けている。

 市医師会の長尾政之助会長(66)は「1人暮らしで体調に不安がある人や持病で治療を継続している人は、安心のために登録してほしい」と呼び掛ける。

 登録は無料だが、同意書が必要。アオーレ長岡や各支所で配布、受け付けをしている。問い合わせは市長寿はつらつ課、0258(39)2268。