サービス取組み事例紹介
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宮城県 NPO法人 フォレスト秘書センター

心のこもったサービスでニッチ市場を狙う フォレスト秘書センター

企業との連携や、ユニークな事業を取り上げ、他にはない先進的な事業を展開する事例を紹介します。

インタビュー風景(動画)




会社の留守を安心して任せられる電話秘書はいかが?


コールセンターの様子

 「NPO法人みやぎこうでねいと」が運営する「フォレスト秘書センター」は、電話・電子メール・FAXなどの通信手段を用いて電話秘書代行サービスをおこなっています。理事長の齋藤宏直氏が、“障害を持った人たちによる独自の事業”として温めていた電話秘書代行業の事業プランが行政の目にとまり、宮城県障害者雇用促進モデル事業に認められ、初年度運営費の5割に当たる約700万円の助成を得て、平成16年の4月に開設されました。
 「NPO法人みやぎこうでねいと」が入居しているビルの一室には、机とイス、そして、CTI(Computer Telephony Integration)が5台ずつ置かれており、5人のスタッフが秘書業務に当たれるようブースが整えられています。CTIとは、お客様相談室などの顧客に電話で応対するコールセンター業務に広く利用されているシステムで、電話とパソコンと統合されたものです。CTIに登録されている電話にかかった場合、専用画面が立ち上がり、登録先別に顧客からの電話や電子メールでの用件・伝言を受けたり、通信記録と電話録音データやメール履歴を保管できるようになっています。
 契約先にとっては、わざわざ人件費をかけることなく、月々15,000円〜25,000円(フォレスト秘書センターの基本契約料金プラン)という低料金で顧客応対を任せることができ、安心して商談に出かけることができます。
 開設前は、契約対象として、外出が多く事務所を空けることが多い個人事業主や事務スタッフを雇い入れる余裕のない零細企業を想定していましたが、現在の契約先はNPO法人が多いそうです。法人形態こそ異なりますが、事務スタッフを雇い入れる余裕のない事業所にとって需要があるのではないかという読みが当たったようです。


丁寧な応対、心のこもったサービスでニッチ市場を狙う


電話業務のパソコン画面

 現在、フォレスト秘書センターでは、3名の女性利用者(精神障害者)が、2名ずつのシフトを組んで、契約企業10社の電話秘書代行業務にあたっています。
 彼女たちの仕事は、CTIを用いて、センターに転送された契約企業宛の電話や電子メールに対して、契約企業の社員として応対し、用件を本人宛に伝言、転送し、通信記録と電話録音データやメール履歴を保管することです。電話営業などオペレーター側から発信するアウトバウンド(発信)業務は請け負わず、インバウンド業務(受信)、その中でも秘書代行業務に特化されています。
 秘書代行業はテレマーケティング市場全体1934億円のうち、わずか3.3%を占める推定64億円(経済産業省の調査)のニッチ市場ですが、サービス単価が低く、人件費を考えると旨みのある市場とは言えないため、新たに参入する企業は少ないと思われます。
 一方で、流行り廃れによる売上高の変動もなく、顧客の信頼を獲得すればリピート率が高いサービスなので、安定した仕事量を確保することができます。また、通信販売のコールセンター業務のように、大量に電話を受信する業務ではないため、精神障害のある利用者にとっても負担が少なく、ハンディキャップを抱えたスタッフならではの繊細な感性や丁寧な応対が活かせる分野であると言えます。


もっと障害者が働ける場所を


斉藤理事長と利用者の皆さん

 「ハンディキャップを抱えているからといって、家に居るばかりで社会との接点を持たないのは、私たちとって、大変つらいことです。この仕事は他の仕事と比べて、時間に追われることなく、気持ちにゆとりを持って仕事をできる点が合っているのかもしれません。この仕事をやっていて楽しいのはお客様と話している時、嬉しいのはしっかりとお給料をもらえることですね」(葉山静江さん)
 葉山さんは、フォレスト秘書センターに勤務するようになって、2年がたちます。見習い時は時給650円でしたが、現在は正規アルバイトとして時給700円、週5日午前9時〜午後5時の勤務をしています。電話秘書業務を行う傍ら、新人スタッフのトレーナー役も兼務しており、やりがいも感じているようです。
 齋藤理事長は、「アルバイトでもいいから働きたいと願っている障害者は世の中にたくさん存在します。在宅も含めて雇用にはいろいろな形があるわけだから、障害者を健常者の職場や一定の雇用体系に無理してあてはめるのではなく、もっと可能性を探るべきだ」と語ります。
 葉山さんが笑顔で働く様子を見ていると、齋藤理事長の話もうなずけますし、ハンディキャップを抱えている方が無理なく働ける職場の新たなモデルとして、電話秘書代行業という分野を開拓したことは、大変意義のあることだと感じられました。


取材日 : 平成20年2月

今回のポイント


@ ハンディキャップを抱えている方が無理なく働ける分野を新たに創出している(ハンディキャップを抱えたスタッフだからこそできる、丁寧な応対、繊細な感性を活かせるサービス事業を開拓している)。


経営コンサルタント 石田 和之

施設概要


施設名 みやぎこうでねいと秘書センター
(旧 フォレスト秘書センター)
設置者名 NPO法人みやぎ「こうでねいと」
(旧 NPO法人 フォレスト秘書センター)
所在地 宮城県仙台市青葉区一番町2-5-12
電話番号 022-268-0501
代表者 齋藤 宏直 氏
施設種類 NPO法人
障害種別 身体障害者・精神障害者
開所時期 40026
利用者数 5名
職員数 非常勤3名
FAX 022-268-0502
連絡担当者 齋藤 宏直 氏
事業内容 電話取次・事務代行
平均工賃 30,000円(時給650円)
(研修手当時給300円)
URL http://www.m-koudeneito.or.jp/link.html

平成21年7月現在

事業所コメント


今年度より運営母体がNPO法人みやぎこうでねいとに変わりました。新たに就労訓練とパソコン教室を開設して多様な活動となります。