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【熊本県】

「放課後デイ」質の確保を 障害児療育支援の事業所急増

熊本日日新聞 2018年3月2日(金)

英語でじゃんけんをする子どもたち。特色を出す事業所もある=熊本市西区

 障害のある子どもなどが通う「放課後等デイサービス」(放課後デイ)の事業所が全国的に急増している。一方で「支援の質が置き去りにされるのでは」との懸念や指摘もあり、質の確保が課題だ。

 放課後デイは、学童保育を利用しづらい障害児(6〜18歳)に専門的な支援をする居場所として、2012年度に制度化された。事業所数は急激に増え、全国で9306カ所、1カ月の延べ利用者の平均は約14万人に上る(16年度)。県内は1月現在で235カ所。

 「じゃんけんします。ロック、ペーパー、シザーズ!」

 2月上旬、熊本市西区の放課後等デイサービス「げんキッズ」。英語講師が声をかけると、子どもたちは元気に手を挙げた。「英語に親しむ時間をつくるなど、子どもたちにさまざまな体験の機会をつくり、自立につなげたい」と、代表の北ノ薗恵美さん(41)。

 一方、支援内容に対し、保護者から疑問の声が聞かれる例もある。同市の別の放課後デイに通う子どもの母親は、職員から「お宅の子どもには手がかかる」と言われた経験があるという。「障害児の療育支援について理解していないのではないか」と首をひねる。

 「子どもたちにテレビを見せているだけ」といった事業所もみられたことから、厚生労働省は15年、支援内容の質確保のためガイドラインを策定。自主点検をすることなどを求め、17年には人員配置基準も見直した。例えば、子ども一人一人に合わせた支援計画を作る「児童発達支援管理責任者」の要件について、研修に加え、障害児や児童の支援経験が3年以上とするなど厳しくした。

 同市の株式会社が運営する事業所では、昨年9月からこの「責任者」が不在となっている。同社は放課後デイとは別に家庭的保育室も運営しているが、昨年夏、保育室の保育士の多くが退職。補充のため、放課後デイの「責任者」を務めていた保育士を保育室に異動させるなどしたため、放課後デイの態勢が足りなくなった。市は「責任者がいない」として、この事業所に対し昨年11月から給付費を30%減額している。

 事業所の代表は「研修を受けさせて新しい責任者を置きたいが、研修は年1回しか開かれない。他県の研修にも申し込んだが『県内優先』と断られた」と説明。「責任者がいなくても支援の質を落とさないようにしている」と強調するが、療育環境を不安視する関係者もいる。

 市障がい保健福祉課は「適正な子どもの療育支援が図れるよう、市内の事業所を定期的に巡回し、態勢を確認する」としている。

 九州ルーテル学院大の河田将一教授(特別支援教育)は「障害児を預ける場がほしいという親側のニーズに応えることが先行し、子どもの視点や支援の専門性が置き去りにされている面がある」と指摘。「一定の水準での支援を担保するため、表面的な監査だけでなく、内容の監査ができる行政の仕組みが必要だ」と話している。(森本修代)

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