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【熊本県】

「聞こえのサポーター」増員 熊本県内NPOが養成講座

熊本日日新聞 2017年12月26日(火)

養成講座で、簡単な手話を交えながら会話を楽しむ参加者ら=宇城市

 聞こえない、または聞こえにくい人への理解を深め、支援の方法を学ぶ「聞こえのサポーター」養成講座が、本年度から本格的に始まった。NPO法人・県難聴者中途失聴者協会(宮本せつ子理事長)の主催。同NPOは「熊本地震後、必要な情報が届かずに苦しんだ聴覚障害者が多かった。平時から配慮できる人を増やしたい」と話している。(清島理紗)

 「地震後、町内で物資の配給場所がアナウンスされていましたが、聴覚障害のため情報を得られない人がいた」と、同NPO副理事長の後藤香織さん(42)は振り返る。

 避難所でも必要な情報は放送されるが、聴覚障害者には届かない。掲示板では、見逃してしまいがちだ。

 後藤さんらは、支援を必要としている聴覚障害者を把握しようと、避難所を巡回。運営スタッフに筆談用のホワイトボードを配るなどして理解を求めた。しかし、「被災者が多くて手が回らないと言われることが多かった。そもそも耳が不自由な人の存在が認知されていなかった」と後藤さん。

 聴覚障害は外見では分かりにくい。例え気付いても、「補聴器をしているから大丈夫だろう」と誤解したり、「高齢者は耳が遠いのは当たり前」と軽く受けとめたりして、支援に結び付きにくい。当事者もあきらめ、孤立してしまうケースもあるという。

      ◇

 「聞こえにくい人には、手話でなければ対応できないと思われがちだが、それは違う。少し配慮するだけで、十分に意思疎通できる場合もある」と後藤さんは訴える。

 話す時に大きく口を開けて口元をよく見せたり、手ぶりを交ぜたり、筆談をしたりするなど、視覚的なヒントを織り交ぜる工夫をすることで、伝わり方が大きく変わるという。

 こうした知識を備え、必要な配慮をできる人材が「聞こえのサポーター」。全日本難聴者・中途失聴者団体連合会(東京)が使う名称だ。県内ではこれまで数回、1日講座を開いていたが、本年度から全4日間のカリキュラムを整備した。

 講座は9〜12月に熊本市と宇城市で開催した。行政職員や福祉関係者、難聴者ら計44人が受講。聴覚障害についての基礎的な知識のほか、筆談やアプリ、手話を使ったコミュニケーション方法、便利な福祉機器、熊本地震後の避難所の状況などを学んだ。

 宇城市会場で受講した鋤田有香さん(40)=八代市=は「高齢者と接する仕事なので、受講した。聞こえにくい人の気持ちが分かり、寄り添って力になれればと思う」。

 同NPOは来年度からも継続的に養成講座を開き、サポーターを増やす考えだ。後藤さんは「必要な配慮や支援を発信し続けると同時に、当事者に対しても、周囲に訴える力をつけるよう働き掛けたい」と話している。

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