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【熊本県】

障害者や高齢者の可能性広がる パラ競技の2人乗り自転車 公道解禁へ魅力PR

熊本日日新聞 2018年6月25日(月)

2人乗りのタンデム自転車の試乗会で、後部座席に乗って笑顔の参加者=益城町

 パラリンピックの自転車競技でも使われる2人乗りの「タンデム自転車」で公道を走れるようにしようと、県内の自転車愛好家や視覚障害者らが活動している。9日には益城町の仮設団地で試乗会を開催。同町惣領で自転車販売店を営む嘉悦覚さん(72)は「健常者と障害者がコミュニケーションしながら楽しめる乗り物。高齢者の健康づくりにも役立つ」と魅力を強調する。

 タンデム自転車は、パイロットと呼ばれる前部座席の運転者が健常者であれば、後ろには視覚障害者が乗ることができる。2020年のパラリンピック東京大会を見据え、全国で公道走行解禁の動きが広がっている。タンデム自転車交流協会事務局(東京)によると、佐賀、大分、宮崎など20府県では走行可能だが、熊本では解禁されていない。

 嘉悦さんらは昨年11月、「タンデム自転車の一般公道通行可を推進する関係者、有志一同」を結成し、関係団体への働き掛けを始めた。5月中旬には県警に要望書を提出。解禁には県道路交通規則の見直しが必要となるが、県警交通企画課は「前向きに検討を重ねている」と話す。

 益城町小谷のテクノ仮設団地で開いた試乗会には、高齢者や子どもら約20人が参加。後部座席に座った渡辺次男さん(83)は「半世紀ぶりに自転車に乗った。前の人と息を合わせるのが難しかったけど、風を感じて心地よかった」と笑みを浮かべた。今後も各地で試乗会を開いたり、署名活動をしたりして解禁への機運を高めたいという。

 一方で、安全面を懸念する声もある。タンデム自転車は小回りが利かない上、乗り慣れていない人が多いためだ。嘉悦さんらは解禁を求めると同時に、福岡県で開かれるタンデム自転車のパイロット講習会への参加を呼びかけるなどして指導者を養成し、安全教育に力を入れる方針だ。

 「解禁が実現すれば障害者や高齢者の可能性が広がり、観光分野での活用も期待できる」と嘉悦さん。タンデム自転車への理解を広げたいと意気込む。(久保田尚之)

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