WAMNETロゴ
ニュース
【島根県】

広がる「オレンジカフェ」 認知症高齢者ら交流の場

山陰中央新報 2018年10月17日(水)

悩みなどを話し合い、交流を深める参加者=出雲市今市町、ラピタ本店

 島根県内で認知症のお年寄りや家族、専門職らが集い交流する「オレンジカフェ」が広がっている。お茶を飲みながら困りごとを語り合い、専門家の助言を受けられるとあり、この3年間で3倍増となる30カ所を超えた。一方、本人や家族が遠慮する場合があり、浸透しているとは言い切れない。関係者は参加者の掘り起こしに努めつつ、当事者以外だけでなく、社会全体で正しく理解する機運の醸成を呼び掛ける。

 「(認知症患者と)会話が成り立たない。どうすればいいのか…」

 9月末、出雲市内であったカフェには20人が集まった。体操や手品に続き、お茶やお菓子を囲み、それぞれの悩みを語り合った。運営するのは「認知症の人と家族の会島根県支部出雲地区会」。4年前から月2回開き、主に60〜80代が参加する。

 90歳の妻を介護する梶田昭次さん(88)=出雲市斐川町阿宮=は「気兼ねなく安心して会話できる」と感謝し、軽度の認知症がある出雲市内の80代男性は「多くの人と出会えて楽しい」と顔をほころばせた。県支部の黒松基子代表(68)=同市上塩冶町=は「みんなで相談して悩みを共有すれば問題解決につながる」と力を込める。

 島根県高齢者福祉課によると、2015年度の県内の認知症患者は推計4万3百人で、12年度と比べて2千3百人増えている。

 こうした現状を受け国は15年度、各自治体にカフェの設置を求める「認知症施策推進総合戦略」を策定。会話が症状の進行を遅らせる効果や、当事者間で悩みを共有する場の必要性も浸透し、17年度末の設置箇所は15年度末の11カ所から島根県内14市町の34カ所となった。認知症に詳しい医療法人エスポアール出雲クリニック(出雲市小山町)の高橋幸男院長(70)は「患者本人や家族にとって安心できる場所になっている」と意義を強調する。

 課題は参加者の掘り起こしだ。黒松代表は、家族が思い悩んで一歩が踏み出せない現状があるとし「家族が『本当に話を聞いてもらえるのだろうか』と参加をためらえば、病状が悪化するケースがある。まずは来てほしい」とする。高橋院長は、病気を受け入れられない患者と、とにかく治したい家族の思いにミスマッチが生じている事例を挙げ「カフェで双方の思いをくみ取り、より踏み込んだケアが欠かせない」と説く。

 一方、当事者以外に理解を促す取り組みも活発になっている。県内自治体は患者との接し方を学ぶサポーター養成講座を開催。修了を示すオレンジリングを受け取った人は16年度から約1万人増え、今年6月末現在で約7万5千人に上る。

 厚生労働省研究班は、25年の認知症高齢者は、高齢者の5人に1人に当たる約700万人に増えると予測している。島根県高齢者福祉課地域包括ケア推進室の昌子裕室長は「本人や家族だけでなく、社会全体の理解が欠かせない」と広がりに期待する。

表示モード:

  1. スマートフォン
  2. PCサイトはこちら