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【静岡県】

検診車で気軽に歯科CT 口腔がん早期発見、沼津から啓発

静岡新聞 2019年11月27日(水)
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歯科専用のCTなどを積んだ検診車で作業する広岡さん。「気軽に検診を」と呼び掛けている=11月中旬、清水町徳倉

 口の粘膜疾患を診断する静岡県沼津市の専門歯科医らが、歯科専用のCTなどを積んだ車両を用いた移動型歯科検診を始める。最先端の機器と専門医がコラボレーションし、口腔(こうくう)がんの早期発見につなげていく。歯科検診は受診率が低く、歯科医らは「気軽に詳細な検診ができるシステムを静岡から広げたい」と意気込む。
 検診車を持つ清水町の医療機器レンタル業「メディカルファンデーション」社長の広岡喜代人さん(50)と、細胞診専門歯科医の庵原明倫さん(51)=沼津市=が検診を手掛ける。粘膜疾患を診断する細胞診の資格所有者は全国で約100人、県内は庵原さんのみという。
 歯科では疾患による自覚症状が出にくく、命に関わる病気ではないという認識から検診率が低い。口腔がん早期発見システム全国ネットワーク副理事長の庵原さんは「虫歯や歯周病で死ぬことはないと医者にかからない人が多いが、口腔がんは命を奪う病気」と強調。日常生活や人とのコミュニケーションにも支障を来すこともある。「発見が遅いと悲惨な状況になってしまう。何としても早い段階で食い止めたい」と力を込める。
 国内の一般的な歯科検診は歯科医による目視で行うのがほとんどで、機器を使用した診察は少ない。検診車にはCTと異常箇所を撮影できる蛍光装置を搭載。粘膜疾患診断の専門家である庵原さんの診察と合わせ、粘膜や骨など目視では見つけづらい口腔内の異常の発見につなげる。
 初の移動型歯科検診は27日、清水町商工会で行う。要望があればエリアを問わず出張する方針で、今後は企業や行政との連携も視野に入れる。問い合わせはメディカルファンデーション<電055(972)7800>へ。

 ■タレント公表、関心高まる
 舌にできる舌がんや歯茎に発生する歯肉がんなど、口の中にできる口腔がん。がん研究振興財団のデータによると、2014年の口腔・咽頭がんの罹患(りかん)者数は約1万9000人、死亡者数は2017年で約7500人。罹患者数は他のがんに比べると少ないが、高齢化などに伴い増加傾向にある。
 進行した口腔がんは、予後に食べる、話すなどの機能を失ったり、顔貌が変わったりすることもあり、経験者による啓発が進みにくい。口腔がん早期発見システム全国ネットワークの庵原副理事長によると、2月にタレント堀ちえみさんが舌がんを公表したことを機に世間の関心は高まりつつあり、全国的に検診を希望する患者が増えたという。