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【静岡県】

患者に即応「特定行為」看護師、静岡県内活躍 医師負担軽減も

静岡新聞 2020年1月21日(火)
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糖尿病患者を看護し、特定行為も実践する水野信子看護師=2019年12月、沼津市の聖隷沼津病院

 医師の判断を待たずに手順書に従って行う診療補助「特定行為」を実施できる看護師を増やす動きが全国で進む中、研修を受けた看護師が県内の医療現場で活躍し始めている。より早い段階で患者に対応することができ、医師の負担軽減にもつながるなど効果が表れている。
 聖隷沼津病院(沼津市)の糖尿病看護認定看護師水野信子さん(52)は、2018年9月に特定行為としてインスリン投与量の調整などの研修を修了し、11月から同病院で自ら判断して入院患者の血糖コントロールを行っている。
 糖尿病の常勤専門医がいない同病院にとって、専門的な知識と技術を得た水野さんの存在は大きい。入院患者の情報収集や主治医との情報交換を図りながら、インスリン投与量の調整や導入、退院後の支援に当たる。「タイムリーに対応することで入院期間も短縮できる。医師と定期的に話し合う機会が増え、医師と看護師の間に入ってケアの方向性を共有できるようになった」と実感する。
 だが、当初医師の中では、看護師が指示を出すことへの抵抗感や力量を疑問視する声もあった。同病院は医師に特定行為への理解を求める説明会を開き、水野さん自身も実績を重ねることで信頼を得ていった。
 伊藤孝病院長は「職員や患者とコミュニケーションを密にして力を発揮している。安心して任すことができ、医師からの依頼件数も増えている」と評価する。
 県看護協会によると、県内で働く研修修了生の数は17年度末までに13人とまだ少なく、研修の学びを現場で生かすことができない修了生も少なくないという。県内では18、19年に六つの医療機関などが研修機関に指定された。
 同協会の柏崎順子専務理事は、今後に向けて「職員や患者に対する特定行為の周知、修了生の活動を推進するための組織体制づくりが必要」と指摘する。

 <メモ>特定行為は医療を支える看護師の育成を目的に、2015年に研修制度が始まった。人工呼吸器からの離脱や持続点滴中の高カロリー輸液投与量の調整、中心静脈カテーテルの抜去など38行為がある。在宅医療での活躍が期待され、団塊世代が75歳以上になる25年に向けて、厚生労働省は研修修了者約10万人以上を目指すとしている。