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【岩手県】

がん治療薬に新技術 岩手医大大学院生、米学会で研究発表へ

岩手日報 2020年4月15日(水)
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杉山育美助教の指導を受け、研究に励む杣悠華子さん(右)

 岩手医大大学院創剤学分野3年の杣悠華子(そま・ゆかこ)さん(31)が、米国がん学会で研究発表することが決まった。がん治療に効果があるとされるビタミンD3をがん細胞に直接届ける薬の調製が、永井記念薬学国際交流財団の海外派遣事業助成に選ばれた。薬剤師として県立中央病院に勤務しながら勉学に励む杣さんは「多くの人に研究を知ってもらい実用化につなげたい」と意気込んでいる。

 ビタミンD3は治療効果があるとされながら、がん細胞に直接届ける方法がなかった。杣さんは、100ナノメートル(ナノは10億分の1)大の脂質のカプセルにビタミンを入れる薬の調製に成功。がん細胞が血液を多く取り込む特性を生かし、細かな血管から直接がん細胞に薬を届けられるようにして副作用を抑えることを狙う。

 米国がん学会は8月ごろ、北米で開催。40を超える国から2万人以上の研究者が参加する。同学会での発表は同大大学院薬学研究科では初。同大創剤学分野の佐塚泰之教授(62)は「これまでにない発表になる。新たな風を吹き込めるはず」と期待する。

 杣さんは病院に勤務しながら、休日を利用して研究を重ねてきた。指導する杉山育美助教(38)は「忙しい中で研究を続け、考える力が付いた。チーム医療をけん引する存在になってほしい」と期待する。

 新型コロナウイルス感染症の拡大が懸念されるが、杣さんは「自身が予防を徹底して勤務したい」と気を引き締めつつ、「病院での臨床があるから課題に気づくことができる。学びながら治療方針を示せる医療人になりたい」と目を輝かせる。(山本直樹)