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【鹿児島県】

面会制限「会いたい」・・・テレビ電話、手紙 鹿児島県内の病院・施設

南日本新聞 2020年4月20日(月)
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テレビ電話を通じて妻に手を振る倉正勝さん=南さつま市の特別養護老人ホーム養徳園

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、県内の多くの高齢者施設や病院が面会を制限している。「元気だろうか」「会いたい」−。利用者とその家族は、互いに顔を見て語りたい思いを胸に、テレビ電話や手紙などを通して気遣い、励まし合っている。

 「誕生日おめでとう」。南さつま市の特別養護老人ホーム養徳園に入所する倉正勝さん(76)が見つめる先には、タブレットに映る妻(72)の笑顔があった。体調を尋ね、誕生日を祝う声が届く。2018年から入所する正勝さんは、14日に誕生日を迎えた。

 同園は「少しでも利用者と家族のつながりを保ちたい」という思いから、11日にテレビ電話ができるタブレットを1台導入。入居者と家族が顔を見て通話できるようにした。家族の側は自身のスマートフォンを利用する。事前予約制で、1家族5分程度会話できる。

 「倉さん聞こえますか」「笑ってるね」。施設の職員が声を掛けると、正勝さんは画面に映る妻に笑いかけ、わずかに手を振った。妻はテレビ電話を終えると、「話ができてよかった。にこにこ顔が見られて安心」と満足そうにほほえんだ。

 約70人が入所するまろにえ介護老人保健施設(鹿児島市)は3月28日から家族の面会も制限している。同市の障害者施設に勤務する井料恵さん(51)の母、松村重子さん(90)は昨年5月末に入所した。

 県内で初の発症者が出た3月26日、井料さんは施設の面会制限を予想し、翌日に水やティッシュを持って行った。「しばらく会えないかもね」と伝えると、重子さんは「困ったね」とつぶやいたという。

 会えなくなってからも井料さんは週に2日ほど、洗濯物を取りに施設に足を運ぶ。3階に入所する重子さんの姿を窓越しに確認。互いに手を振ったり、写真や動画を撮ったりすることもある。「面会制限が続き、もしこのままずっと会えなかったら…と不安になることもある。窓越しにでも、母の笑顔を見ると少し安心する」

 同市の看護師、船迫範子さん(46)の義母、葉子さんは19年11月から市内の病院に入院している。3月に面会が制限されるまで、毎週土日に見舞っていた範子さん。「休日の予定がなくなり、ぽつんと取り残された感じがして寂しい。看護師さんも忙しいだろうから、母は話し相手がいないのでは」と気遣う。

 最近は週に1回程度看護師さんを通して手紙のやりとりをする。葉子さんは自分の思いを多く伝えるタイプではないが、送られてきた手紙には「会いたい」と書かれたものもある。

 これまでに、葉子さんの好きな甘い物や桜のイラストが入った絵はがき、こいのぼりの飾りなども届けた。「季節感のある物を選んでいる。喜ぶ顔を想像しながら、何を届けるか考えるのも楽しい。次はアヤメの花にしようかな」。会えなくても、心の中で大事な人を思っている。