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【熊本県】

「コロナDV」相談を 専門家ら被害増加へ危機感

熊本日日新聞 2020年4月30日(木)
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DVの相談機関についての情報を発信する「パレアチャンネル」の画面(県民交流館パレア提供)

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛で家庭で過ごす時間が増え、ストレスを抱えた配偶者らからのドメスティックバイオレンス(DV)被害の増加が懸念されている。熊本県内の女性支援団体にも深刻な被害相談が寄せられており、専門家らは相談呼び掛けを強化している。

「コロナの影響で収入が激減した夫が暴力を振るう」「仕事に出ている間は夫の暴力を受けずに済んだが、出勤日数が減らされて逃げる場所がない」

 熊本市のNPO法人ウィメンズ・カウンセリングルーム熊本には4月以降、夫の暴力に悩む女性の相談が寄せられるようになった。

 新規の相談やカウンセリング申し込みのほか、これまでの相談者が暴力を受ける頻度や、より強い言葉で怒鳴られることが増えたという。竹下元子代表は「家という閉鎖的な空間で過ごすことを長期間強いられ、ストレスがたまってDVが起きやすい状況にある」と警鐘を鳴らす。

 2016年の熊本地震後でも避難生活や家計困窮が長引くにつれ、DV被害の訴えが増加した。竹下代表は「今回も地震と同様の状況にある。今後被害が顕在化することが考えられ、継続的なカウンセリングが重要」。

 県男女参画・協働推進課と熊本市男女共同参画センターはあもにいのDV相談は、これまでのところ目立った増加はないという。しかし、両機関は危機感を強め情報発信を強化。県男女共同参画センターはフェイスブックの「パレアチャンネル」で早期相談の呼び掛けを始めた。

 暴力の矛先が子どもに向かうことも考えられる。熊本市西区の小児科内科「杉野クリニック」の杉野茂人院長は、同市などで乳幼児集団健診が延期されていることから「虐待の兆候の発見が遅れかねない」と懸念。「地域で『虐待を見逃さない』という気構えが必要だ」と指摘する。

 家庭内のDVは潜在化しやすく、深刻な事態になってようやく表面化する場合もある。

 熊本市中央区の「下通り心身医療クリニック」の泉薫子院長は「被害者は『私さえ我慢すればどうにかなる』と思いがちだが、それでは暴力がエスカレートするばかり。配偶者の態度などに不安を感じたら、早めに医療機関や窓口に相談してほしい」と話す。(深川杏樹、豊田宏美)