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【広島県】

医療切迫 中国5県連携へ 隣県へ搬送、人員相互派遣

山陰中央新報 2020年5月1日(金)
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中国地方知事会のインターネット会議で意見交換する湯崎英彦知事(左)=15日、広島県庁

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、広島県内の医療体制が切迫してきた。感染者は中国地方最多の154人(28日午後8時現在)で、14日時点の90人から2週間で約1・7倍に膨れ上がった。重症者を受け入れられないなどの医療崩壊を招く恐れがあるとして、県内の空き病床などの情報を集約する仕組みや、中国5県のさらなる連携で難局を乗り越えようとしている。

 「医療崩壊に近い状況がこれから起きてくるのではと心配している」。政府が緊急事態宣言を7都府県から全国に拡大した16日、広島県庁であった県感染症患者受け入れ調整本部会議後の会見。本部長を務める県感染症・疾病管理センターの桑原正雄センター長が先行きを案じた。

 県内では11日以降、三次市のデイサービス施設や広島市の知的障害者入所施設、福山市の会社など3市で計4カ所のクラスター(感染者集団)が発生。感染者数の6割を占めており、現地以外の県内病院へも分散して受け入れているのが現状だ。

 広島県は、感染者が入院する県内病院のベッド数を119床から200床へ増やした。感染症指定医療機関である県内5病院の計30床に加え、他の12病院を含めて周囲との隔離が可能な一般病床を割り当てた。27日時点で85床が埋まっている。

 26日には、感染症指定医療機関である市立舟入市民病院(広島市)に勤務する看護師が感染したことが判明し、緊張が走った。

 ◇問われる調整能力

 県は重症者や重症化の恐れがある高齢者たちに優先的に病院のベッドを回す一方、感染者の大半を占める軽症者は民間の宿泊施設で療養してもらう方針。県内のホテル1カ所(130室)を当面1カ月間借り上げ、21日に軽症や無症状の感染者の受け入れを始めた。ほかの宿泊施設でも受け入れに向けて調整を続けている。

 併せて県庁内に設けたトリアージセンターで、感染者の病状や、県内のどこに受け入れ可能なベッドがあるかなどの情報を集約している。県健康福祉局の田中剛局長は「限りある医療資源をどう使うかが問われる。役割分担、病床確保などで地域の実情に応じた対応が必要で、総合的な調整機能を高めたい」と話す。

 ◇医療機器も提供へ

 大規模な災害時同様、隣県同士の協力が必要不可欠だ。「重症者があふれた時はなんとかお互い連携しましょう」。中国地方知事会が15日に開いた対策本部のインターネット会議。中国地方で重症者の増加が見込まれるとして、会長で岡山県の伊原木隆太知事が提案し、各県の病院で相互に受け入れる態勢を整えることで合意した。

 感染者向けの病院のベッドが足りなくなった場合などに隣県の病院へ患者を搬送。加えて、酸素吸入器やペースメーカーといった医療機器が不足した時は他県へ提供を求めたり、医師や看護師を派遣し合ったりすることを確認した。広島県の湯崎英彦知事は「極めて危機的な状況。5県が互いに助け合い、住民の命と健康を守りたい」と述べた。

 事態の収束が依然見通せない中、医療崩壊を食い止めるための試練が続く。