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【熊本県】

里帰り出産「自粛は無理」 妊産婦の悩み切実

熊本日日新聞 2020年5月11日(月)
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オンラインでの相談体制を整えた来未助産院。助産師の和田洋子さんが出産や育児のアドバイスをする=菊池市(同助産院提供)

 新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、里帰り出産も自粛を求められているが、妊婦らからは「居住地には頼れる人がおらず、里帰りせざるを得ない」と切実な声が上がる。一方、熊本日日新聞の「SNSこちら編集局」には、「里帰りを諦めた妊産婦が孤立感を深めないか心配。地域の開業助産師を頼って」との助言が寄せられた。

 広島市在住で、5月中旬に第1子を出産予定の主婦(28)は、4月中旬に熊本市の実家に帰省した。移動自粛を求められる中、広島市で産むことも考えたが、既に予約がいっぱいで「実家に帰るしかなかった」と言う。

 出産予定の病院からは、里帰り後2週間の自宅待機を求められた。待機期間は無事に明けたが「この間に産気づかないか心配だった」と語る。

 京都市の会社員女性(28)も5月中旬に熊本市に帰省する。7月に出産予定で、女性は「申し訳ない気持ちもあるが、初めての出産なので母親の支えがないと無理」と話す。

 熊本市中央区の福田病院は妊婦に帰省を早めるよう呼び掛けており、自宅待機中に問題があれば電話で相談を受けた後、個別に診察している。出産時の夫の立ち会いは中止し、産後の面会も1家族1人のみ15分まで。「心苦しいが感染予防が第一」と理解を求める。

 里帰りを断念し、実家の支援を受けられない妊婦の場合、地域でどう支えるかが大きな課題だ。熊本市は、助産師や民生委員が生後4カ月までの乳幼児の家庭への訪問事業を休止中。子育て支援センターも休館しており、産後の母親の相談や交流の場がなくなった。

 熊日に意見を寄せたのは、そんな母親たちを心配する大津町の小児科医、石井真美さん(55)。国際認定母乳コンサルタント(IBCLC)の資格を持ち、「母乳育児などは出産前から知識を得ておいた方がいい。里帰り出産ができない人は特に、地域で開業する助産師とつながってほしい」と語る。

 菊池市の来未[くるみ]助産院は感染防止のため、インターネットのビデオ通話システムで助言する「オンライン母親学級」を開始。乳児の体重測定も車に乗ったままドライブスルーでできるようにした。

 オンライン母親学級は県内在住なら誰でも無料で参加でき、「気軽に相談してほしい」と助産師の和田洋子さん(44)。5月は2回開催予定で、出産時のいきみ方や母乳育児などについて教える。

 県助産師会も、電話やメールで産前産後の相談に応じる。電話相談はTEL096(325)9432=平日午前10時〜午後4時。(豊田宏美)