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【青森県】

ドクターカー10年、出動1万3千件

東奥日報 2020年5月18日(月)
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ドクターカー運行開始初日、八戸市民病院から交通事故現場に向かうため車に乗り込む同病院の医師ら=2010年3月29日

 八戸市民病院を拠点に、医師が患者の元へ向かい早期に救急治療を行う八戸圏域のドクターカーが、2010年3月末の運行開始から10年が過ぎた。19年度までの出動件数は計1万2910件。このうち救急車だけでは救命が困難で、ドクターカー出動による緊急処置で命を取り留めた「劇的救命」は195件に上る。重篤な状態から社会復帰を果たした人もおり、重症患者の救命率向上に貢献している。

 同病院によるとドクターカーの出動件数は、実質稼働初年度の10年度に593件だったのが、翌11年度に千件を突破。以後も増加傾向にあり、19年度は10年度の3倍近い1716件と、過去最多となった。

 医師が患者と接触したのは10年度に500件。13年度に1022件と初めて千件を超え、19年度は最多の1530件だった。治療の必要がないなどの理由で引き返した「キャンセル」は16年度に最多の237件に達したが、17年度159件、18年度141件、19年度は186件だった。

 疾患別にみると4分の3を神経系や心血管系の内因性が占めた。交通事故は全体の約1割。「劇的救命」は年度ごとにばらつきがあり、最多は11年度の43件だった。

 患者の搬送受け入れ先は八戸市民病院が一貫して多く、19年度は前年度比28件増の1154件で全体の75%を占める。近年は八戸赤十字が増え、19年度は初めて200件を超えた。

 現場で手術可能な「V3」の出動件数は19年度に4件あり、このうち現場で人工心肺補助装置の装着手術を行ったのは1件。16年7月の運行開始から19年度末までの累計出動件数は15件、このうち手術は4件だった。本年度は4月に出動が2件あり、いずれも現場で手術し成功したという。

 運行開始当初は、救急出動要請を受けた消防側がドクターカーの出動も要請すべきか判断に迷うケースもあったという。このため病院と消防が合同でドクターカーの症例検討会を開き、出動要請の内容や現場での処置などについて検証。10年間の症例の積み重ねが、出動件数の増加と救命率向上につながった。

 八戸市民病院救命救急センターの野田頭達也所長は19年度の出動件数について「救急隊員、センタースタッフが頑張った結果でもある」と強調。一方で「出動増(診療数増)によるスタッフの疲弊を懸念している」と課題を語った。

ドクターカー 八戸市と周辺7町村でつくる八戸圏域連携中枢都市圏の事業として運行。八戸市民病院のドクターヘリが出動できない夜間や悪天候時に活躍する。スポーツタイプ多目的車(SUV)のドクターカー2台、現場で手術可能な「V3」の計3台が八戸市民病院に常駐。消防の出動要請を受け、同病院の運転手が医師らを乗せて現場へ急行する。稼働時間は午前8時から午後11時で、深夜帯は消防の車両が病院まで医師を迎えに来る形をとる。