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【高知県】

地域医療のやりがい語る 高知大学医学部でオンライン講演

高知新聞 2020年9月14日(月)
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感謝状を受け取る高村祥吾院長(南国市の高知大学医学部)

 高知県の医師養成奨学貸付金を貸与されている医学生に地域医療のやりがいを伝える「地域医療オンラインシンポジウム」がこのほど、南国市岡豊町小蓮の高知大学医学部で開かれた。新型コロナウイルスの影響で中止された地域実習に代わる企画で、現役医師が「地域のかかりつけ医」のやりがいを語った。
 高知県の奨学金は月額15万円で、医師の少ない産婦人科などを志望する場合は8万円が加算される。卒業後に県内の指定医療機関で貸与期間の1・5倍(6年貸与の場合は9年)勤務すれば、全額免除される。2007年以降、高知大を中心に県内外の396人に貸与され、卒業した156人が県内で働いている。
 奨学生は毎年夏に県内各地の病院や診療所で実習し、地域医療への理解を深めている。今年はオンラインでの開催となり、学生に加え、県内10高校の生徒ら約150人が参加した。
 償還義務を終えた高知こころクリニック(高知市一宮南町1丁目)の高村祥吾院長に、浜田省司知事が感謝状を手渡した。続く講演で、浜田知事は2016年の調査以降、県内で40歳未満の若手医師が増えていると紹介。依然として郡部の中核病院で医師が足りない現状に触れ、「地域は皆さんを待っている。新しいロールモデルとして地域医療を担ってほしい」と語った。
 シンポジウムには、県立幡多けんみん病院の橋本大輔医師と、大崎診療所(吾川郡仁淀川町)の橋元幸星所長、中平富宏・宿毛市長が登壇した。
 両医師は学生時代からの歩みを紹介。「(診察では)重症者を見逃さないために、患者の生活など背景を知ることが大切」「地域には高齢や独居で、遠くの医療機関に簡単に行けない人がいる。その地域で働く医師の知識、技術、やる気がその地域の医療レベルになる。学生時代から主治医のつもりで学んで」と地域医療に取り組む姿勢を語った。
 奨学生は「地域で働く」という決意の一方で、勤務やキャリアに不安を抱いているという。講演と並行して学生らに行ったアンケートでは「十分な指導が受けられないのでは」「住民との関係はどうつくる?」といった質問が上位を占めた。
 「救急患者など、自分で判断して対処する責任が重くないですか」という質問には、より高度な医療に対応できる後方病院などから支援はあるとした上で、橋元所長が「どこで医療をやっていても、医師である限り責任は重い。診療所だから軽い、救急病院だから重いということはない」と回答。「患者のために自分ができることをできるだけ増やしている」と話していた。(門田朋三)