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【熊本県】

コロナ治療''オール熊本''で 「4月中旬最も逼迫」 人員不足、熊大など連携 熊本市民病院

熊本日日新聞 2020年9月23日(水)
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防護服を着て、新型コロナウイルス感染症の患者に人工呼吸器を装着する市民病院の医療スタッフら=3月、熊本市東区(同病院提供)

 熊本県内は新型コロナウイルス感染「第2波」のピークを過ぎ、患者の治療に当たる医療機関も落ち着きを取り戻しつつある。感染症指定医療機関として県内のコロナ治療の中核を担う熊本市民病院の水田博志病院事業管理者(67)と高田明病院長(66)が、患者発生後初めて熊本日日新聞のインタビューに応じ、「熊本大病院との連携など“オール熊本”の医療提供体制がうまく機能した」と語った。(福井一基)

 −市民病院は2月21日に県内初のコロナ患者を受け入れました。

 「熊本市と熊本大は2017年に医療分野などで連携する覚書を交わしており、患者発生の数日前には熊本大病院の谷原秀信院長とコロナへの対応を協議していた。患者発生を想定した訓練を1月27日に実施しており、実際の受け入れにも粛々と対応できた」

 「『第1波』では最大24人が入院。感染症の専用病床は8床しかなく、同じフロアの一般病床(28床)も使用した。院内感染防止のため、感染症病棟は入り口から完全に一般病棟と分離され、動線も分かれている」

 −医療スタッフの確保はどうでしたか。

 「人工呼吸器が必要な重症者が3人入院していた4月中旬が最も逼迫[ひっぱく]した。重症者1人に対し医師1人と看護師4人が必要だが当院の感染症内科の医師は1人、呼吸器内科医は3人で、呼吸器内科医はコロナに専従できない。患者の増加を受けて熊本大病院に最大で医師4人、看護師17人を派遣してもらった」

 「隔離された病室で完全防護し密着度の高いN95マスクを着けて治療・看護するのは、体力的に2時間が限度。それが24時間態勢で続くため、他病棟の看護師を移し、その病棟の不足分は熊本大病院からの派遣で補った。他の病院ではエクモ(人工心肺装置)が必要になると見込まれる最重症の患者を引き受けるなど、県のコロナ対策調整本部が中心となり、オール熊本で対応した」

 −「第2波」にはどう対応しましたか。

 「入院患者が最大33人と、ほぼ満床状態の時もあった。職員は常に緊張状態にあり、精神面で相当疲労した。毎日の新規入院のほか、協力医療機関への転院など患者の移動が多く、医師の紹介状や看護記録、画像データなどをそろえるだけでも大変だった」

 「ただ、第1波の時より新たな知見が加わり、重症化防止に効果的な薬も示された。退院基準も変わり、計画的に退院や転院ができた。重症者がいなかったのも大きかった」

 −第3波も想定されます。県民、市民に呼び掛けたいことは。

 「一人一人が新しい生活様式を守ってしっかり感染予防することが大切だ。県や熊本市の感染リスクレベルに応じて不要不急の外出を控えるなど自覚を持って行動してほしい。当院では発熱外来の設置を検討している」

 「当院でも看護師の子どもの登園拒否や家族の受診拒否などの風評被害が報告されている。コロナについて正しく知り、風評被害をなくしてもらいたい」