国保藤沢病院の医師、看護師らがまとめた患者らの「聞き書き」
患者やお年寄りに人生の歩みを語ってもらい、話し言葉のまま冊子にまとめる。この「聞き書き」という活動に岩手県一関市藤沢町の市国保藤沢病院(佐藤元美院長)の医師、看護師らが取り組んで6年になる。患者の言葉に耳を傾け、思いを酌み取り、新たな一面を知ることも。語り手一人一人を主人公にした手づくりの物語が地域医療の現場で紡がれている。
「人と人として向き合える。『患者と看護師』以上の特別な関係ができて、ケアも深まる」。真っ先に取り組んだ総看護師長の畠山貴江さん(53)は、互いの心の距離が縮まっていく効果を口にする。
きっかけは2014年春にさかのぼる。佐藤院長(65)と2人、健康や医療の悩み相談に応じる「暮らしの保健室」(東京都)を訪れた際、第一人者の作家小田豊二さんと出会い、ヘルスケアの現場で広がる聞き書き活動を知った。
希望者が参加する「院内サークル」のようなかたちでスタート。医師や看護師のほか理学療法士、保健師ら、これまで10人ぐらいが患者や地元住民の人生や戦時体験などを書き上げた。
テーマは自由だ。話したいことを気の向くまま話してもらう。「私なんて何も話すことがない」と言っていた患者も「子育てって、大変だったんですか」と水を向けると、冗舌に話し始めることも。「苦手だと思っていた患者さんの胸の内を理解できたり、家族ともつながりができた」と畠山さん。これまで、患者とその家族8人を取り上げた。
方言もそのまま書く。これまで6冊を書き上げた佐藤院長は「(聞き書きの本は)万人が分かって、面白いというもんじゃない。話した人、聞いた人が理解し合える。これが大事」と語る。「患者さんを丸ごと分かろうとすることで気持ちを開いてくれる。診察室では得られないものが得られる」と実感する。
佐藤院長が院内のプリンターで印刷、製本し相手にプレゼントする。どれも世界に一冊のオーダーメード。同病院を支える会の会長を務めた西功雄さん(80)=同町黄海=が藤沢町職員当時に取り組んだ地域包括ケアの思い出話は、かかりつけ医の高木史江内科長(55)が執筆した。
西さんは「自分史を書こうと思っていたら、先生が上手にまとめてくれた。病院経営に役立てば、なおうれしい」と、昨年12月発行の「クリスマスプレゼント」を大切にしている。
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