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【栃木県】

広がるロボット支援手術 栃木県内医療機関でも導入

下野新聞 2021年1月20日(水)
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県立がんセンターで導入されたダヴィンチの機能を説明をする貫井医師

患者負担軽減で需要増 購入費用減へ国産化期待
 保険適用の拡大などを背景に、県内の医療機関でも広がるロボット支援手術。傷口が小さく患者にかかる負担が軽いため、ニーズは高まりつつある。これまでは米国製が主流だったが、最近は国産化を目指し開発が進む。今後、企業間の開発競争で病院側が負担するコストが減少すれば「手術ができる病院も増えるのではないか」と、現場の期待感は高まっている。
 米国で開発された手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使った手術は、ロボットのアームにメスなどを装着し、医師が離れた場所から画面を見て操作する。胸部や腹部などに数ミリから数センチの穴を複数開けて行うため、通常の開腹手術より傷が小さく、出血量も少ない点がメリット。現在は前立腺がんや大腸がん、胃がんなどを対象に行われるロボット支援手術が、保険の適用対象となっている。
 県内では既に、獨協医大や国際医療福祉大など複数の医療機関で活用。宇都宮市陽南4丁目の県立がんセンターでは昨年4月、院内に「ロボット支援手術センター」を設立し、ダヴィンチを導入。9月から、泌尿器科などでダヴィンチを使った手術が始まっている。
 センター長の貫井昭徳(ぬくいあきのり)医師(52)は、ロボット支援手術のメリットについて「痛みや入院期間の点で患者側の負担が少ないことはもちろんだが、術者にとっても手ぶれがないため精密な操作ができる」と説明する。このため、ロボット支援手術の対象となった患者は「ほとんどの方が通常の開腹よりダヴィンチ手術を選ぶ」(貫井医師)という。今後は月20件程度の手術を予定している。
 佐野市堀米町の佐野厚生総合病院も6月に、ダヴィンチを使った前立腺全摘出術を行った。以降、月平均7、8件のロボット支援手術を行っている。泌尿器科の黒川真輔(くろかわしんすけ)部長(51)は「術後の鎮痛薬の使用も少なくなり、入院期間も短くなった。術後の合併症として挙げられる尿失禁も減少した」と手応えを実感する。
 ロボットを使った手術のニーズが高まる中、ダヴィンチの特許切れを受け、国内でも支援手術ロボットの開発が進んでいる。8月には、川崎重工業(神戸市)とシスメックス(同)の共同出資会社「メディカロイド」(同)が開発した手術支援ロボットが国内企業で初めて、国の製造販売承認を取得した。
 購入費用だけでも数億円かかるといわれる手術支援ロボット。黒川医師は、国産ロボットの開発が進むことで「手術支援ロボットの価格が下がり、導入する病院も増える。多くの患者が恩恵を受けられるようになると思う」と話している。