
集団接種時に待合室代わりになっている観光用の大型バス=福井県勝山市福祉健康センターすこやか
新型コロナウイルスワクチンの集団接種事業で福井県勝山市は、会場となっている市福祉健康センターで独自に密集防止や暑さ対策、注意の呼び掛けなどにさまざまな工夫を凝らしている。
市福祉健康センターでは、接種を受ける人たちの待合室として観光バスを活用している。会場内の密集防止や、今後の夏場の熱中症対策につなげるのが狙いで、利用したお年寄りからは「快適だ」と好評を得ている。
センターでは受け付け業務を屋外のテントで実施している。その後、接種開始時間まではテントで待機するか、バスを利用するかを選べるようにしている。
バスは約50人乗りで、車内では間隔を空けて座るよう求めて密集を回避している。現在は1台が待機しているが、今後接種を受ける人たちが増える夏場には2台にして対応する予定だ。
市では「団体観光客が減り、観光バスの需要も落ち込んでいる。バス事業者の下支えの意味合いもある」と説明。ある事業者は「本来の使い方ではないけれど、使ってもらえるのはうれしい。協力させてもらいたい」と話した。
接種後の経過観察を行う部屋などでは、副反応などへの注意を促す動画をモニターで流している。動画は市職員たちのオリジナルで「分かりやすく注意点などをまとめた」としている。
動画は、看護師資格を持つ会計年度任用職員らが中心となって制作。職員がイラストを描くなどし、どんな副反応の可能性があるのかを説明。経過観察時に体調が悪くなった場合には、すぐに会場のスタッフに声を掛けるよう呼び掛けている。
動画はこのほか、接種の予約方法や、集団接種の流れを紹介するなど3種類あり、動画投稿サイト「YouTube」にアップするなどしている。
「初めてのことで不安もあると思うので、少しでも流れなどを分かってもらいたい」と職員。経過観察の時間は通常15分だが、過去にアレルギー反応などがあった場合は30分になるため「30分用の動画を作るなど、さらに充実させたい」としている。