
実際の医療現場の様子(左下の画面)をゴーグルを着けて体験する学生
福山医療専門学校(福山市引野町南)は6日、救急救命士を志望する学生が実際の切迫した現場を仮想現実(VR)を通じて学ぶ授業を開いた。新型コロナウイルス禍で医療機関での実習が難しい中、現実に近い形で学習を深める狙い。
VRで学ぶ処置事例は、交通事故の外傷や心筋梗塞などの疾患といった5パターン。ゴーグルを着けて体験した学生11人は、講師から「現場の関係者が原因を探すため、どう対応していたか」などと質問された。講師は学生の視線をモニターで確かめ、注目する点などをアドバイスした。
全国救急救命士教育施設協議会(東京)などが開発中のシステムで、同校が中四国地方で初めて参加した。国家資格の救急救命士の試験を受けるには、医療機関での80時間以上の実習が必要。ただ、コロナ禍で実習できないケースが増えているという。VRは現時点では実習の代替にはならないが、関係機関が可能性を探っている。
VRの授業を受けた寺岡寿々香さん(21)は「現場の雰囲気を感じつつ、どう動けばいいか確かめられた」と話した。(川村正治)