
ウイルスによる攻撃手口を紹介する服部文彦さん=多治見市前畑町、県立多治見病院
徳島県の病院で10月末、サイバー攻撃によって電子カルテの閲覧ができなくなり、復旧と引き換えに身代金を要求される事件があったことなどを受け、岐阜県警多治見署は15日、多治見市前畑町の県立多治見病院でサイバー防犯講話を開いた。実際にウイルスをパソコンに感染させるデモンストレーションなども行い、警戒を呼び掛けた。病院を対象としたこうした防犯講話は県警では初という。
同病院のシステム管理室の職員や関係する業者ら約20人が参加。県警サイバー犯罪対策課と中部管区警察局県情報通信部情報技術解析課の職員が講師を務め、サイバー犯罪の現状や手口、その対策を紹介したほか、徳島県の病院が被害に遭ったのと同様の手口のコンピューターウイルス「ランサムウエア」を用いて実演を行った。
「10時間以内に連絡を取らないとファイルをインターネット上に公開する」。赤色となったパソコン画面に英語の脅迫文が表示され、残り時間を示すタイマーが動き出した。講師の服部文彦さんは画面を指し示しながら「ファイルが暗号化されて開けなくなっている」などと攻撃を受けた状況を説明した。
対策としては怪しい電子メールへの警戒やID・パスワードの管理、包括的なセキュリティー対策ソフトの導入といった基本的な事柄をはじめ、被害に遭った場合に備え、バックアップからデータ復旧ができるかどうかを定期的に確認することなどを挙げた。
同室の金子浩久室長(54)は「具体的な手口を知れて参考になった。業者に丸投げではなく、発注側も知識を持たなければならない」と感想を話した。服部さんは「今回の事件を受けて病院を選ぶ基準にセキュリティー対策を考える患者さんもいるかもしれない。コストも人も時間もかかるが、万一の事態への備えは必要」と語った。