アイコン

トップ

アイコン

高齢・介護

アイコン

医療

アイコン

障害者福祉

アイコン

子ども・家庭

wamnetアイコン

独立行政法人福祉医療機構が運営する福祉・保健・医療の総合情報サイトです。

トップ背景
wamnetアイコン
検索アイコン
知りたいアイコン
ロックアイコン会員入口
アイコントップ |
アイコン高齢・介護 |
アイコン医療|
アイコン障害者福祉|
子ども・家庭
アイコン



福祉医療広告

「手術痕を気にせず温泉楽しみたい」 乳がん患者の専用入浴着、普及に力
医療

【山口県】

「手術痕を気にせず温泉楽しみたい」 乳がん患者の専用入浴着、普及に力

中国新聞 2022年8月15日(月)
ニュース画像
アンケート結果の資料を前に、入浴着を持って紹介する藤本さん

 手術痕を気にせず温泉を楽しみたい―。そんな乳がん患者たちの声を受けて作られた専用の入浴着があまり知られていない。着たままの入浴が拒否されないよう国は都道府県などに周知を促しているが、山口市の市民団体が乳がん患者たち45人に聞いた調査では、約8割が存在を「知らない」と答えた。誰もが気兼ねなく温泉に入れるよう、がん経験者たちが動き始めている。

 山口市の看護師藤本育栄さん(51)は39歳の時、乳がんを告知された。もともと温泉が好きで家族とよく行っていたが、右乳房の全摘出後は貸し切りの家族風呂以外は利用しなくなった。親戚と温泉付きの旅館に泊まった時も、幼いめいが驚くのではと思い、入れなかった。

 さまざまな種類の入浴着が売られていると知ったのは、乳房の再建手術後だった。デザイン性に富んだものから、使い捨ての安いものまであり「再建前に知っていたら使っていたかも」と思った。

 藤本さんは現在、がん患者やその家族を支援する市民団体ポポメリー(山口市)の代表を務める。アピアランス(外見)ケアの一環で入浴着を広めようと6月、山口県美祢市であったイベントで入浴着を展示、販売した。来場した45人に入浴着を知っているかアンケートしたところ「知っている」と答えたのは10人。「患者でも知らない人は多い。入浴施設で手軽に購入できるようになれば」と願う。

 ただ、着用しようとしても、入浴施設側に利用を拒まれたり他の利用者から苦情が寄せられたりするケースもある。厚生労働省は2018年、入浴が拒否されないよう都道府県などに事業者への周知を促す通知を出した。同省ホームページでは「浴槽に入る前には付着したせっけんをよく洗い流すなど、清潔な状態で使用される場合は衛生管理上の問題はない」と記す。

 山口市の湯田温泉でも以前、入浴拒否の事例があった。湯田温泉旅館協同組合によると15年、乳がん経験者の宿泊客から「温泉を楽しみに来たのに入浴着を断られた」との電話が組合に入った。役員会で話し、理解を促すポスターを作って旅館など26施設(当時)に配った。吉本康治事務局長(69)は「旅館側も認識が広がり、断る話は聞かなくなった。安心して入れる温泉街になった」と話す。

 自治体単位で普及に取り組む例もある。伊香保温泉がある群馬県渋川市は昨年8月、入浴着300着を買い、市内の旅館や日帰り温泉計60施設に配った。全ての人に旅を楽しんでもらう「ユニバーサルツーリズム」事業の一環という。

 乳がん経験者でつくる静岡市の任意団体「入浴着普及委員会 bath to ?(バストラブ)」は、入浴着の紹介動画を作ってSNSで発信し、患者と一緒に入浴着で温泉に入る催しを開いている。増田郁理(かおり)代表(44)は「使うかどうかは本人の自由だが、選択肢は多い方がいい。思春期や性的少数者で胸を見せるのに抵抗がある人も気軽に付けられるアイテムになれば」と願う。

 ポポメリーの藤本さんは、温泉施設に使い捨ての入浴着を置くよう働きかけている。また人工肛門・ぼうこうを付けていたり、乳がん以外の手術痕があったりする人も使える男女兼用の入浴着を作りたいと考えている。「行くことを諦めていた人が戻れば、温泉街の活性化にもつながる。理解が広がり、抵抗なく入浴できる社会にしたい」。

 2人に1人ががんになる時代。誰もが病気になる前と変わらず人生を楽しめるよう、活動が広がってほしい。(山下美波)

ページトップ